• 2016.05.1304:00
  • 就活入門

「若者雇用促進法」がスタート! あなたの志望先は大丈夫? ブラック企業を見抜く方法とは…… 

みなさんは、2016年3月1日から「若者雇用促進法」がスタートしたのをご存じですか?
近年、ブラック企業による若者の酷使が社会問題となっていますが、この「若者雇用促進法」によって、今後は企業が新卒採用について問い合わせを受けた際には、その情報を提供することが義務付けられました。就活生はこの制度を使い、入社する前にどのような企業か参考にできるため、ミスマッチが防げるとも言われています。
 
『若者雇用促進法のあらまし』厚生労働省 都道府県労働局 ハローワーク
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000112770.pdf
 

さらに、厚生労働大臣が“若者の採用・育成に積極的な優良企業”を「ユースエール認定企業」として認定する制度もはじまりました。この動きが進むことにより、違法なブラック企業は淘汰されることが期待されています。しかし期待感が膨らむ一方、現実的にはまだまだ課題が多いようで……。
 
それでは、この「若者雇用促進法」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
 

 企業が公表したくない情報

就活生にとってはメリットの大きい「若者雇用促進法」ですが、やはり採用側から見てみると抵抗感をもつ企業も少なくないようです。弊社アイデムの『人と仕事研究所』が今年3月1日に行った調査によると、様々な理由から「数値は把握しているが、公表できない」と考えている企業は、およそ4割に達しました。
 
以下は、企業が新卒者から質問される主要な7つについて、企業の対応状況を調査したものです。
 
「過去3年間の新卒採用者数・離職者数」
「過去3年間の新卒採用者数の男女別人数」
「平均勤続年数」
「前年度の月平均“所定外労働時間(残業時間)”の実績」
「前年度の有給休暇の平均取得日数」
「前年度の育児休業取得対象者数・取得者数(男女別)」
「役員・管理職に占める女性の割合」
 
20160513_【就活入門】若者雇用促進_グラフ
 
このうち1番多い残業時間の長さについては、ブラック企業のイメージとしてまず思い浮かぶのではないでしょうか。日本企業の残業の多さはメディアでもたびたび指摘されていますが、この調査を見るとやはり常態化しているのか、企業にとっては最も聞かれたくない部分であることがわかります。
 
また、2番目に数値が高い育児休業取得に関しても、女性の活躍を推進する時代にも関わらず、なかなか取得できない実態があるようです。
 

 知りたい情報とは異なる回答が返ってくることも……

調査結果のように、公表したがらない企業が情報提供を求められたとき、どのような対応をするのか気になりますよね。このような場合、問い合わせた情報とは違う内容を、企業が開示してくることがあります。「それってダメなんじゃない?」という声が聞こえてきそうですが、実は違反ではないのです。
 
この「若者雇用促進法」では、企業側は必ず情報を開示する義務があるものの、その内容は、3種類(下記のア~ウ)の情報提供項目からそれぞれ1つ以上の情報を提供すれば良いということになっています。
 

(ア)募集・採用に関する状況 ・過去3年間の新卒採用者数・離職者数
・過去3年間の新卒採用者数の男女別人数
・平均勤続年数
(イ)職業能力の開発・向上に関する状況 ・研修の有無及び内容
・自己啓発支援の有無及び内容
・メンター制度の有無
・キャリアコンサルティング制度の有無及び内容
・社内検定等の制度の有無及び内容
(ウ)企業における雇用管理に関する状況 ・前年度の月平均所定外労働時間(残業時間)の実績
・前年度の有給休暇の平均取得日数
・前年度の育児休業取得対象者数・取得者数(男女別)
・役員に占める女性の割合及び管理的地位にある者に占める女性の割合

 

つまり、たとえば就活生が“離職者数”について問い合わせたとしても、企業側が公表したくない場合、そのかわりに“男女別人数”についての情報を提供すれば、義務を果たしたことになるというわけです。
 
ですから、もし問い合わせた情報と違う内容を開示してきた場合、隠したい理由がある可能性も考えられるわけです。逆に、問い合わせた情報はもちろん、それ以外の情報も多く開示してくれるといった誠実な企業もあるかもしれません。いずれにしても、企業の対応を見ることで、どのような企業なのかの判断材料になることでしょう。

 

 とはいえ、やはり聞きづらいという声も……

このように見ていくと、もし気になる企業がブラックとはいかないまでも、「公表したくない」と考えているとしたら、やはり聞きづらいですよね。採用担当者の機嫌を損ねて選考結果に響くのではないかと考え、行動に移せないという人も多いかと思います。
 
それでは、どのような方法で問い合わせれば良いのでしょうか。実はこの「若者雇用促進法」では、自分で企業に情報提供を求めるという方法と、大学のキャリアセンターやハローワークに頼むという2つの方法があります。
 
自分で問い合わせる場合には、メールや書面で「氏名」「連絡先」「大学名と学年」「情報提供を希望する旨」を採用担当者に伝える方法、もしくは面接や説明会の場で直接質問する方法がありますが、これは若干ハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。
 
もし気になる企業が大学のキャリアセンターに求人を寄せているようなら、「〇〇という企業の情報がほしいので問い合わせてください」と頼むのも一つの手です。同じように、ハローワークに求人がある企業についても、ハローワークをとおして問い合わせることができます。

 

 優れた中小企業の認定する「ユースエール認定企業」とは?

それでは最後に、「ユースエール認定企業」についても少し触れておきましょう。「ユースエール認定企業」とは、厚生労働大臣が“若者の採用・育成に積極的”かつ“雇用管理の状況などが優良”だと認めた中小企業のこと。平成28年度3月31日時点で全国24社が認定されており、今後も増えていくことが予想されます。
 

■全国のユースエール認定企業
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11652000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Jakunenshakoyoutaisakushitsu/0000120690.pdf
 
その他、ユースエール認定基準は満たしていないものの、若者の採用・育成に積極的な中小企業は「若者応援宣言企業」として認定されているところも多くあります。これらの企業は、厚生労働省が運営する検索サイトや都道府県労働局のホームページで企業検索することができますので、ぜひ参考にしてみてください。
 
■若者雇用促進法に基づく認定企業・若者応援宣言企業検索システム
https://www.wakamono-saiyou-ikusei.go.jp/search/service/top.action
 
 
就活はまさに人生の分かれ道。もし複数の選考に受かったとしても、あなたが進む道は一つです。ぜひ進路選択の際には、この記事も参考にしてみてくださいね。
 
 
 
【調査概要】
2017年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査(2016年3月1日状況)
https://apj.aidem.co.jp/upload/chousa_data_pdf/272/2016_03_01gakuseichousa.pdf

 
 
 
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