• 2016.07.2511:30
  • 企業/業界研究

経営スタイルまで世界が注目するトヨタグループを徹底研究

2015年世界で一番たくさん自動車を売った企業「トヨタ」。どの国に行っても、現地の人が知っている日本語=トヨタと言われているほど。でも、実はトヨタは自動車だけではないのです。トヨタグループとはどんな企業グループでしょうか。見てみましょう。

 

 トヨタグループとは?

トヨタグループの始まりは、豊田佐吉が創業した豊田自動織機に始まります。幕末の1867年静岡県に産まれた豊田佐吉は、「人のために役立ちたい、国家のために尽くしたい」という思いを抱き、新しいものを作りだそうと発明に没頭しました。1890年に豊田式木製人力織機を完成し、最初の特許を取得しました。その後、発明のための資金を確保するため、紡いだ糸を織機のたて糸用に効率的に巻きかえる、画期的な豊田式糸繰返機を完成、続いて、日本で最初の動力織機、木鉄混製の豊田式木鉄混製動力織機をつくりました。この織機の動力源として、蒸気機関と石油発動機を使いました。この動力織機に注目したのが、三井物産合名会社(現在の三井物産)でした。1899年合名会社井桁商会が設立され、佐吉は発明に専念することになりました。1918年に豊田自動紡績工場を改組し、豊田紡織株式会社が設立されました。日本での経営が安定すると、佐吉は1921年に中国上海で事業展開を始めます。海外での事業展開を懸念する人々に、佐吉は「障子を開けてみよ。外は広いぞ」と語ったとか。世界に広がるトヨタの精神は創業時から脈々と受け継がれているようです。

 
1926年に豊田自動織機が完成、このG型自動織機は、世界で高い評価を得、英国のプラット・ブラザーズ社が特許権の譲渡を申し入れるほど、日本の技術が世界に認められた快挙でした。1930年に豊田佐吉がなくなった5年後、佐吉の精神を日常の心構えとして明文化した豊田綱領が制定されました。当時、豊田グループの会社は8社、従業員は1万3000人を越えていました。豊田綱領は次の5項からなっています。

 
一、 上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし。
一、 研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし。
一、 華美を戒め、質実剛健たるべし。
一、 温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし。
一、 神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし。

 
豊田佐吉の長男豊田喜一郎は、父の工場で機会に触れながら成長し、大学でも工学を研究しました。英国のプラット・ブラザーズ社との特許権譲渡交渉のためにイギリスを訪れた際に、自動車工場を訪れ制作の現場を見学します。将来、自動車工業が経済の中心になると見抜いていました。同年、アメリカのデトロイトにあるフォートの工場も訪れ、流れ作業での自動車生産に魅せられたといいます。本業の織機の開発にも努め、1937年までに32件もの特許、実用新案権を取得しました。

 
当時、フォード、GMが日本に工場を建設し、自動車生産を始めていました。日本が世界の一流国になるためには、国産自動車が不可欠と考えた喜一郎は、大学時代の同窓生たちの協力も得て、自動車生産のための準備を進めます。1933年末に工場の片隅に自動車部を発足させました。軍需とも相まって、1935年11月にG1型トラックを発表します。このトラックは1年間で800か所を改良したというほど、大急ぎで完成させたものでした。戦時中、トヨタは軍需工場に接収されていましたが、1945年に戦争が終わると、いよいよ、小型乗用車の生産が始まります。戦後、乗用車の開発を進めるとともに、ディーラー網の整備も始めます。1946年には、トヨタ自動車販売店協会が発足しています。1947年に最初の乗用車トヨペットを売りだすと、5年で1万3千台が出荷されました。1949年には、自動車部品の子会社日本電装が設立されました。

 
企業が活力を維持し成長していくためには、新規事業の開発が重要であるというポリシーの基、トヨタは、住宅、金融、情報通信、バイオ・緑化、環境・エネルギー分野に展開しています。

 

 トヨタグループの企業

トヨタの基幹産業は自動車のため、自動車関連企業がグループ内には数多くあります。トヨタグループの部品メーカーであるアイシン精機やデンソーは、高い技術力を持ち、他の自動車メーカーにも部品提供をしています。最近のモジュール化の動きは、世界各国の自動車部品企業が競合となる一方で、世界各国の自動車メーカーを顧客とできるようになっています。自動車以外の分野にも進出している企業も含め、トヨタのグループ企業には以下のような企業があります。

 
・株式会社豊田自動織機
1926年11月設立の源流企業、トヨタ自動車を始めとしたグループ各社の大株主でもあります。
・トヨタ自動車株式会社
・株式会社ジェイテクト
トヨタ自動車工業の「工機部」を起源とする会社。
・ダイハツ工業株式会社
1967年にトヨタ自動車と業務提携、1998年に同社の子会社化。
・日野自動車株式会社
大型バス・トラックなど重車両を主として生産。1966年にトヨタ自動車と業務提携、2001年に子会社化。
・愛知製鋼株式会社
自動車用特殊鋼の研究開発を目的として1934年に豊田自動織機製作所に開設された製鋼部が起源。
・トヨタ車体株式会社
・トヨタ自動車九州株式会社
・トヨタ自動車東日本株式会社
・アイシン精機株式会社
・アドヴィックス
アイシン精機の子会社、アイシン精機、デンソー、住友電工、トヨタ自動車のブレーキ部門を統合。
・アイシンAW
・シロキ工業
自動車用シートなどを製造。
・豊田合成
1943年にトヨタ自動車工業のゴム部門が独立。
・株式会社デンソー
トヨタ自動車工業の「電装部」から、「日本電装」として分社。
・デンソーウェーブ
・トヨタ自動車北海道株式会社
・トヨタ自動車東北株式会社
・トヨタ紡織株式会社
・トヨタテクノクラフト:新規車両の企画・開発、特装車の開発、生産。
・トヨタアイティー開発センター:自動車IT関連の研究開発会社
・豊田通商株式会社
1936年にトヨタ車の販売に関する金融業務を目的として設立され、トヨタ系各社の証券保有業務、豊田産業(株)の商事部門を継承した総合商社。
・東和不動産株式会社
・株式会社豊田中央研究所
自動車関連技術の研究を目的として、トヨタグループが共同出資で設立。
・トヨタホーム株式会社
一代一事業という豊田家のモットーに則り1975年に豊田章一郞の発案で始められたトヨタ自動車の住宅部門を分社化。

 
住宅関連企業は以下の企業もあります。
・トヨタウッドユーホーム
・トヨタすまいるライフ
・ミサワホーム
・クレストホームズ
・トヨタT&S建設
・タス
不動産情報提供会社
・トヨタファイナンシャルサービスグループ(金融関連企業)
トヨタ自動車の子会社。日本を含む世界30ヶ国以上で自動車ローンやリースを中心とした自動車販売金融を展開。
・トヨタファイナンス
・あいあいおいニッセイ同和損害保険

 
▪情報システム系
・トヨタコミュニケーションシステム (TCS)
・トヨタケーラム (TCI)
・トヨタデジタルクルーズ (TDC)
・TDモバイル
・デンソーITソリューションズ
・豊通シスコム
・豊田ハイシステム

 
▪メディア系
・トヨタメディアサービス
トヨタ自動車の顧客向けインターネット事業会社
・ひまわりネットワーク
・ミュージックバード
・ZIP-FM
・メディアクリック
・日本緊急通報サービス
・トヨタマップマスター
地図データベース制作会社

 
▪教育系
・トヨタ工業学園
・学校法人トヨタ学園
・豊田工業大学
・トヨタ東京整備学園
・トヨタ東京自動車大学校
・トヨタ名古屋整備学園
・トヨタ名古屋自動車大学校
・トヨタ神戸整備学園
・トヨタ神戸自動車大学校
・トヨタ東京教育センター
・トヨタドライビングスクール東京
・トヨタ名古屋教育センター
・中部日本自動車学校

 全世界のトヨタ従業員が持つ価値観・トヨタウェイとは

トヨタウェイとは、トヨタグループで創業以来受けづかれてきた信念や価値観を整理・集約したものでトヨタで働く人間としてとるべき行動原則ということができます。これらの価値観が築かれた背景には、「世界の」トヨタであることが挙げられます。現在トヨタには世界中に30万人が働いており、当然働く人々のや国々の文化や慣習が存在しています。それらを超えた、トヨタのモノづくり精神を統一・価値観をしっかりと共有することが重要視されているのです。トヨタウェイとは「知恵と改善(Continuous Improvement)」「人間性尊重(Respect for People)」の2本の柱で成立しています。
 
▼トヨタの価値観・トヨタウェイ
知恵と改善(Continuous Improvement)
L チャレンジ(夢の実現に向けて、ビジョンを掲げ、勇気と創造力を持って挑戦する)
L 改善(常に進化、革新を追求し、絶え間なく改善に取り組む)
L 現地現物(現地現物で本質を見極め、素早く合意、決断し、全力で実行する)
 
人間性尊重(Respect for People)
L尊重(他を尊重し、誠実に相互理解に努め、お互いの責任を果たす)
Lチームワーク(人材を育成し、個の力を結集する)
 
現状に満足することなくいつの時代も挑戦し続けることで、従業員・会社が成長・発展し続けられるという考え方です。
現在のトヨタのチャレンジは「世界中の人々にクルマの魅力を届け、地球環境と共存する」こと。日本国内のみならず北米、欧州、中国・新興国それぞれの地域の特性やニーズをくみ取り事業展開をすること、ハイブリッド車「プリウス」を先駆けとし、環境と共存ができる自動車文化を築いていることに重点を置いています。
 

 トヨタ生産方式とは

 
トヨタが世界を代表する企業に成長した理由として挙げられるのが、工場における生産活動の運用方式である「トヨタ生産方式」です。この方式はトヨタグループ、他社メーカーだけではなく、他業種でも多く導入されています。
トヨタ生産方式は元々、ムダの徹底的排除の思想と、造り方の合理性を追い求め生まれたものです。常にチャレンジ・改善を念頭に置いてきたトヨタの思想を極めた方法とも言えるでしょう。その柱となるのが生産性を向上させる「ジャスト・イン・タイム」、問題を顕在化・ミエル化させる「自働化」です。
 
ジャスト・イン・タイムとは、生産現場の「ムダ・ムラ・ムリ」を徹底的に無くし、極力在庫を無くし、効率的に製造することを目的としています。商品を注文した顧客を待たせずにより早く商品が届けられることに注力した考え方です。自働化とは、合理化・効率化を求めるあまりに、従業員の人間性やモチベーションを排除してはいけないという考え方です。異常が見つかれば機械が止まり、人が作業を止めることで解決していくことを大切にしています。品質を保つためにも、完全に機械に移行するのではなく人間を介することで、トヨタウェイにもある「改善」が進んでいくという考え方が根付いています。
 
 

 まとめ

いまや世界のメーカーのモデルとして注目されているトヨタ。就職するためにはより広い視野で、より多くの人とのコミュニケーションを経験しておくとよいでしょう。また今後の自動車業界の動向や、国内外の自動車乗車率の現状を頭に入れておくことは大事です。

 
 

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