• 2017.02.2408:00
  • 面接/筆記/ES対策

【中川淳一郎コラムvol.21】悩み相談)「どうしても集団面接が苦手です。なんで僕は集団面接が苦手なんでしょう?どうしたら克服できますか?」

悩み相談)「どうしても集団面接が苦手です。なんで僕は集団面接が苦手なんでしょう?どうしたら克服できますか?」
 
 集団面接が苦手な方は、その「苦手っぷり」を恥じる必要はありません。大抵の場合、集団面接で目立ったり、評価されたりするヤツは計算高いタイプだからです。では、なぜ企業は集団面接をやるのか――。
 
 それは非常に合理的な話で、一回の面接で5人ほどを一気にさばけるからなんですよ。企業の側は「議論の能力を見たい」とか「場を仕切る能力を見たい」とか「協調性を見たい」といったことを言うかもしれませんが、そんなもんは、個人面接でも把握できるものです。
 
 よって、私は「集団面接」には否定的です。結局、「見事に仕切ればいいのね」とか「対案を出せばいいのね」みたいな、面接の現場でなんとなくウケが良さそうなことができる人が評価されるわけですから。
 
 あなたが「なんで僕は集団面接が苦手なんでしょう?」とおっしゃるのは、よくわかります。理由は、集団面接が虚飾にまみれた「一見その場をいい方向にもっていこうとするものの、結局は自己アピールの場」になっているからです。
 
 しかしながら、前述の通り、多くの志望者をさばかなくてはいけない宿命から生まれた集団面接は、受けざるを得ないわけです。ここではその場の立ち居振る舞い方について解説しましょう。
 
 結論は、「自分の言いたいことだけを言え」になります。
 
 集団面接になると、協調性を出さなくてはいけないのでは? などと考え、大げさにいちいち他の面接受験者の発言に大きく頷いたり、「なるほど!」なんて言いたくなったりするかもしれません。しかし、これらは無駄です。面接官は「頷き能力」や「なるほど! を言える能力」を見ているわけではありません。
 
 繰り返しますが、集団面接はあくまでも「大勢の人間を一気にさばく」ことが目的です。だったら、そこにいる5人の中でもっともキレッキレの意見を言えばいいんですよ。恐らく面接官は「調整能力」「頷き能力」なんて求めていない。「5人を一気に面接し、この中で使えるヤツっているかな?」を見たいだけ。
 
 だとしたら、そこで、もっともキレる意見を言えばいいのです。さて、私が過去にやった集団面接で、結局採用されたものを再現してみましょう。これは就活ではなく、大学3年生の時のコンサルティングファーム・マッキンゼーのインターンでのことです。
 
 この時は3人の学生がいました。相手は2人のコンサルタントと1人の人事担当です。マッキンゼーといえば、日本を代表する頭のいい会社の一つとされていますが、一次試験を通り、2次の集団面接がインターンに通るかの成否を分けます。いわば「最終面接」です。
 
 この時、言われたのは「東京の緑を10倍にするにはどうするか? はい、5分与えますので、考えてください」でした。学生3人は必死に考えます。そして5分が経過。
 
 私は最後に喋ることができたので、ラッキーではあったのですが、最初の2人が言ったのが「ビルの屋上緑化を推進する」でした。
 
 私の場合、「屋上緑化ってのは誰もが言いそうだな」と考えていたため、逆バリと別視点を提示すれば、この2人に勝てると思いました。そこで言ったのが以下の言葉です。
 
「正直、東京の緑を10倍にするのは無理です。というのも、すでに青梅・奥多摩の方には緑がものすごく多く、10倍にしたら、東京の面積を越えます。だったら、ここでいう『10倍』は『10倍に感じられる』ということでいいのではないでしょうか。さらに、『10倍』にしたいのであれば、そのアピールする相手は外国人も含めた東京になじみのない方が『東京って緑が多いな』って思ってくれることと、東京に住んでいる方々が『東京の緑が増えたな』と思うことでしょう。
 
 だとした場合、『10倍』にするのは無理なので、『10倍かも』と感じられることこそが重要。屋上緑化であれば、それは航空写真でも見なくては分からない。だったらどこに緑を植えればわかるか……。それは線路です。線路脇に杉などを植えればいいんですよ。防風林になって京葉線の遅延も回避できる可能性がありますし、立っている人にとっては緑があって目にも優しい。これが『10倍』への解決策では」
 
 まぁ、無茶苦茶な話ではありますが、他の「屋上緑化」とは別の視点を提示でき、私はこのインターンに通ったのでした。ですから、集団面接通過のキモは「他人といかに違う視点を言えるか」です。よって、普通の人が言いそうなことを予想したうえで、全然違うことを言うのが重要です。
 
13

【筆者プロフィール】

中川淳一郎(なかがわじゅんいちろう)
 
①
 
編集者
 
1973年生まれ。東京都立川市出身。1997年一橋大学商学部卒業後博報堂入社。
CC局(現PR戦略局)に配属され、企業PRを担当。2001年に無職になり、以後フリーライターや編集業務を行ったり、某PR会社に在籍したりした後ネットニュースの編集者になる。
 
著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書) や『内定童貞』(星海社)など。

CATEGORYカテゴリー