• 2016.12.0508:00
  • 自己分析

理系・学部卒で就職した太田さん 激白「そもそも就職ってこの世の終わりだと思っていた」

大学では工学部。大学院に行って研究者になったり、院卒で技術職・研究職での就職を目指したりする友人も多いなか、太田さんは学部卒での普通就職を選びました。今回は、理系から普通に就職、文系が多い会社で働く太田さんの想いを聞きました。
 
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なんで工学部か? 単純に、高校生のとき、理系の勉強のほうが得意だったんです。トップにはなれないけど、“まあまあ”のところにいくために、自分がその時いちばんできることで勝負する。数学と物理ができたから理系に行って、なんとなく研究をしていました。工学部では数値解析をやっていましたが、1ミリも興味わかなくて、大学に行かなくなっちゃって。車が好きだったからエンジンの設計なんかには興味がありましたが、とはいっても、そんなに努力したくない。いつも“まあまあ”狙い。大学は社会にでるためのモラトリアム期間みたいなものだった思っていたダメ人間でした。
 
院に行く選択肢はありませんでした。白衣をもう着たくなかったんです。院卒ではないと入れない推薦を狙うわけでもないし、大学に残りたくない。理系として就職したくなかったんです。そうはいっても、就職って、この世の終わりだと思っていました。就職したら、あとは惰性で生きていくしか無いと思っていました。就活自体に、なんにもモチベーションがあがらない大学生でした。我ながらつくづくダメ人間ですね(笑)。
 
イヤイヤ就活を考え始めたとき、どうせやるんだったら広告とか面白そうなやつがいいなと思っていたんですけど、じゃあ広告が好きかっていうとそうでもない。会社って、入ったらたいして面白く無いという前提でした。そんなやつが、選考で受かるわけないですよね。電通・博報堂のような大手はすぐに落ちました。とりあえず行きたいところはないから、入れるところはどこかと探して、中小企業には受かったんですが、正直なんか違うなって。
 
1社目の会社にずっといるとは全く思っていなかったので、転職しやすい会社がよくて、さらにつぶしがきく職種は何かと調べたら、営業らしい。サービス業のアルバイトをずっとしていたから、営業方面はなんとかなるかなということで、業種問わず、とにかく職種で「営業」にしぼりました。営業って、いちばんたくさん募集しているんですよね。
 
そして、システム機器の販売や導入などをおこなう大きな会社に入りました。でもやっぱり、働くということにそんなにモチベーションがあるわけでもないので、早くやめたかった。最初の1年間くらいは飛び込み営業をして、2年10か月でやめました。ものが売れること自体は嬉しかったです。ただ、それがイコール仕事の面白さにはなっていない。悶々としていました。
 
転職し、今いるのは当時ベンチャーだった広告代理店です。もともと仕事をするなら広告がいいなという気持ちは漠然とありましたし、先に入った先輩に引っ張ってもらえたんです。そこで初めて、仕事は楽しいこともあるなと思いました。まず一緒に仕事をする人がみんなポジティブ。前は単調な日々でしたが、今はやることに変化がある。大企業は知名度があったり、一見安定しているようにみえますが、中小のほうが、自分がやることに変化があり、自分の采配できる部分が深さも広さもあって、面白いです。
 
最初から今の会社に行っていたらいいなと思わなくもない。でも、そもそも今の会社を自分で選択していないので、就活時だったら多分行っていないし、大企業を見たからこそ中小の面白さもわかる。なんだかんだ、人に恵まれて、今まで来ました。人生における選択って、案外自分だけが決定するものでもなく、運と縁とタイミング。いつだって人との付き合いは大事にしようという話かもしれません。
 
最近、新卒の採用をする立場になりました。今は売り手市場といわれ、学生が「自分が企業を選ぶ側」だと思っちゃってる。数や割合だけみたらそうかもしれませんが、本質的には「いやいやいや、逆だぞ」と。僕が今の会社に入社したときには、知名度もなく、「大丈夫か、そんなところに行って」と言われたのに、会社が成長すると、東大の学生とかバンバンくるんですよ。結局知名度があるところに人は集まるんですね(笑)。
 
だから、受けに来る学生の“差”が激しいです。学生ベンチャーをやっていましたというパワフルな学生から、“なんにもやっていない”学生まで。昔って情報もないし、学生の差っていっても大したものじゃなかった気がしますが、今、学生のなかで“格差社会”になっている印象があって、採用する側も大変です。例えば「あの大学ならだいたい間違いない」ということもない。
 
だからこそ「人」を見ますね。僕がみるのは、部活をやっていたかどうか、目的とか意味とかわからなくても、とにかく「今自分にできること」を頑張った経験があるかどうか。それでダメであっても、結局最初思っていたことと違ってもOK。挫折や悶々とすることも大事だと思うからです。それをさらけ出して、「今、自分は、こういう理由でこう考えるから、ここで働きたい」ということを話してほしいですね。

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