• 2016.03.2911:30
  • 面接/筆記/ES対策

【例文あり】書き方次第で通過率アップ! エントリーシートの志望動機&自己PRの書き方を就活キャリアコンサルタントが解説!

今回は、2人のキャリアコンサルタントに「エントリーシートにおける志望動機の書き方」や「自己PRの書き方」についてそれぞれ解説していただきます。
まずは、延べ3,000名の学生の面接や就職相談に応じてきたキャリアコンサルタント佐藤大さんから、エントリーシートにおける志望動機の書き方を解説いただきましょう。

 

 「本気の思い」を伝えるためのヒント

面接や書類で必ず出る質問の中で、定番の質問の一つが「志望動機」です。
「志望動機」なしにはエントリーシートも書けないし、面接にも参加できません。あまりにスタンダードな質問であるため、「とりあえず人並みに準備しよう」といった気持ちがありありと分かるような、平凡でありきたりな志望動機もあったりします。その様な普通程度、あるいはそれ以下と感じる志望動機に関しては、各企業の採用担当もすぐに見抜いて真剣に読んでくれない事も多いはずです。

 
しかし、ありきたりな志望動機が多い中、たまにキラリと光る志望動機を見かける場合もあります。文章の構成も明快で、内容も深く考えられていて、なぜか全く力みを感じさせない割に、説得力を持ち合わせた内容だったりします。実はこのような「志望動機」を作成するにあたって、テクニックはそれほど重要ではないと思います。文章が上手な人が作成しようとも、必ずしも良い志望動機が書けるとは限りません。あくまで志望先企業に向けて本気の「思い」を伝えたいかどうか? が勝負の分かれ道ではないかなと思います。今回は「本気の思い」を伝えるためのヒントをご紹介したいと思います。

 

 「三大質問」の中で唯一違いがあるのが志望動機です

面接官からされる代表的な質問、「自己PR」「学チカ(学生時代に力を入れたこと)」「志望動機」の中で、「志望動機」だけが唯一違うことがあります。それは、「自己PR」や「学チカ」が自分の過去・現在・未来だけを材料にして考える「自分軸」の分析であるのに対し、「志望動機」は企業について研究し、材料を自ら集めた上で分析をするという「他人軸(会社軸)」であるという点です。どんなに自己分析を完璧に行っていても、肝心な企業研究が足りなければまともな志望動機は作成できないのです。平凡でありきたりな内容の志望動機は、「自分軸」ばかりに時間を注いでしまった事が原因ではないかと思います。

 
・良い志望動機に必ず共通して含まれている「メッセージ」とは?
思わず引き込まれてしまうような良い志望動機には、必ず共通した2つのメッセージがあります。一つは「◯◯の役に立ちたい」というメッセージ。もう一つは「◯◯をしてあげたい」というメッセージです。
また、それに加えて「自分の沸き立つ強い思い」や「過去に経験から得た考え方や価値観」を加わり立体的な内容で説明できている事も大事な共通点です。

 

 良い志望動機をつくるために最低限必要な作業

・まず、どんな「仕事(職種)」があるのかを知る
職種はアルバイトでよくあるような仕事だけではありません。例えば、販売職や営業職などのように、街を歩いているだけで目にするお仕事だけではなく、企業の後方で企画をしたり、研究をしたり、商品を設計したり、様々な目に見えない仕事が沢山存在します。自分が知らない仕事を少しでも減らして、なおかつ自分の適職を見つけるためにも、まずは書籍やネットを通じて勉強してみましょう。

 
・どのような「企業」があるのかを知る
普通の学生が知っている企業は、TVCMで流れていたり、有名な商品の企業であったりと「超有名企業」ばかりです。しかし日本国内には大小合わせて約400万の企業があると言われていて、誰もが知っていると思われる大企業は、そのうちのなんと3%しかないと言われています。その他の97%の企業は大企業と同じように活躍をしているにも関わらず、その多くが知られていないのです。多くの企業を知る事で、自分に合った企業に出会う確率も上がります。
ぜひ1社でも多くの企業について意識的に知るようにしてみてください。視野が広がり、就職活動も一層楽しくなるはずです。

 
・どのような「業界」があるのかを知る
志望企業について調べる時、その企業を取り囲む「業界」にまで意識が向かない学生の方を見かけます。くれぐれも企業だけを研究するのではなく、業界も同時に研究するようにしましょう。業界ごとの景気の良し悪しや、ライバル企業の動向、またマーケットの取り合いをしている思いもかけない別業界もあるかもしれません。マクロな視点で把握して初めて、自分が志望する企業の特徴が見えてくると思います。

 
・自分の「過去の経験」や「強い思い」を認識する
企業や業界についてどんなに明確な志望動機があっても、「根拠」がなければ説得力も生まれません。採用担当者にアピールするためには、なぜこの企業で働きたいのか? なぜこの会社でなければならないのか? を伝える必要があります。そのために必要になる準備が「過去の経験」と「強い思い」について認識する事です。これについては後述しますが、明確に説明できるまで丁寧に時間をかけて自己分析をすることをお勧めします。

 
・自分と志望企業をつなぐ接点(◯◯に◯◯をしてあげたい)を探す
志望する企業が見つかり、その企業の特徴を把握して、なおかつ自己分析で自分の過去の経験や強い思いが見つかったとしても、それらを論理的につなぐ説明(双方にとってなぜ必要なのか?)ができるかどうかが最後に一番です。どんなに企業を勉強しても、どんなに自己分析を深く行っても、「接点」を説明できなければ無駄になってしまいます。

 

 採用担当者は「志望動機」を通じて何を知りたいのか?

採用担当者が志望動機を通じて何を知ろうとしているのか? それはズバリ「本気かどうか?」この一点に尽きます。
なぜ本気にこだわるのか? その理由は主に2つあって、

 
「内定辞退や入社後にギャップを感じて辞めて欲しくないから」
「将来会社を担う有望な社員として着実に成長して欲しいから」

 
この2つに尽きます。
だからこそ、「志望動機が本気かどうか?」を真剣にチェックしているのです。主に3つの視点でチェックしています。
それは、

 
・「自社への関心」が高いかどうか?
・「自社への理解度」が高いかどうか?
・「自社でやりたい事」が明確かどうか?

 
です。
多少の能力に違いがあったとしても、まずはこの志望動機の内容さえクリアできていれば、入社するに価すると考えています。逆を返せば、この志望動機の内容がクリアできなければ内定を貰う事は難しいでしょう。

 

 志望企業は「どのように」探すのか?

・まずは自分の「思い」と向き合ってみる
まずは自分の中にある「思い」を探し出してみてください。以外にも身近にあったりします。例えば、「どんなニュースに興味を持ちやすいか?」「無意識に見てしまうニュースは何か?」「世の中の課題について、改善したいと強く感じる事は何か?」︎を考えてみてください。それらは「志望動機の種」になっている事が多いからです。

 
・「誰に何をしてあげたいのか?」
自分の思いを考えた後にもう一歩踏み込んで考えて欲しい事は、「対象が誰なのか?」「何をしてあげたいのか?」を明確にイメージできるまで考えて欲しいという事です。志望動機の核になる部分でもあるので、しっかり時間をかけて考えて欲しいと思います。

 
・「絶対にしたくない仕事」があればピックアップしてみる
消去法で選択肢を絞る意味でも、絶対にしたくない仕事を決めるのも良いです。もしこの仕事をする位なら、フリーターになってもいい! と思える位に避けたい仕事です。ただ、大した理由もなく「(ただ単に)大変そうだから嫌だ」などという浅い考えでないか? についてだけは注意しておきましょう。

 
・扱う商品やサービスへの共感はOK
「この商品は絶対に世の中に必要だ!」とか、「このサービスをもっと世の中に広めるべきだ!」という強い気持ちで志望企業を選定する事も良いと思います。それにより強い目的意識が生まれて、志望動機も力強くなるはずです。

 
・「NGな選社軸」になっていないか?
NGな選社軸とは、「給料」「残業」「研修制度の充実度」「安定度合い」「楽に働けそうか」といった依存的な理由で企業を選んでいる場合です。よほどのブラック企業で人材獲得に苦しんでいるか、見る目の浅い採用担当で無い限り、普通は採用されるのは難しいでしょう。

 
・何から情報を集めるのか? どのように集めるのか?
一番おすすめの情報源はやはり「新聞」です。これに勝る情報はありません。よく「何新聞を読んだら良いですか?」と質問されますが、「日経新聞」と答えるようにしています。理由は簡単で、経済紙であるため企業に関するニュースが一番多く掲載されているからです。ネットニュースについても同じ観点で読むようにしてみてください。

 

 志望企業が見つかったら「どのように」調べるか?

・集める情報量に徹底的にこだわるべきです。
志望動機を書く上で、同じ企業を志望している学生に対して少しでも差をつけたい、少しでも説得力のある内容にしたいと思った時に一番効果的な差別化の方法は「少しでも多くの情報をかき集める事」だと思います。
説明会での内容、企業パンフレットの内容、採用サイトの情報などは普通の学生なら誰でも目を通しますし、多くの学生はそれらの内容を材料にして志望動機を作成するため、誰もが似通った志望内容になってしまいます。
差別化を図るためには、経済に関する新聞や雑誌などをしっかりチェックしておき、場合によっては学校の図書館などにあるアーカイブ(過去の記事)などを利用しながら、自分しか知らない情報を見つけ出すことをお勧めします。そのような手間と労力は、必ず入社意欲が高い証拠とみなされて評価されると思います。

 
・OB・OG訪問で生の情報を集める
自分だけの固有の情報といえば、何と言っても自分の大学から入社したOB・OGの所へ出向いて生の社員の情報を直接仕入れるという事です。実際の現場の社員から、現在進行形の社内情報について自分の考え方を披露してもらえるので、自分で調べた情報と掛け合わせる事で、より厚みのある企業研究ができるようになります。

 
・学生向けに作られた「就活四季報」で調べてみる
四季報とは企業の財務状況や業績に関する情報が細かく記載されている本で、主に投資家向けに販売されているものですが、最近では就活生(離職率や採用人数なども記載されている)向けに作られた四季報も発売されています。
内容としてチェックしておきたい部分としては、営業利益の直近数年の推移をみて、業績の流れを読んだり、そのほか、離職率、平均年収、有給消化率などから多角的に社内の状況を読み解くことをお勧めします。ちなみに資本金が多い、売上高が多いなどの単体での情報は実はあまり重要な情報ではありません。
企業の数字を時系列で立体的に読むように心がけてください。

 
・IR情報(投資家向けの情報)
上場企業の場合は、このIR情報の内容を徹底的に読み込むことを勧めます。
経営の状態、今後のビジョン、経営陣の個性、社風、理念、今後着手する事業、新たなサービスや商品、社内の課題、社員の状態など決算書だけではわからない、隠れた情報が満載です。一年に一度か二度ウェブにアップされるのですが、こちらも単年でみるのではなく、連続した内容になっているので、必ず最低直近二年分の流れを掴むためにも、読み込んでおきましょう。読み込んでいない学生も多いからこそ差別化できるポイントです。

 

 微妙だけどNGな志望動機の一例

最後にダメな志望動機の代表例を挙げておきます。

 
・「御社の理念に大変感銘を受けました」
・「社員のキャラクターや社風に共感いたしました」
・「御社の商品やサービスの素晴らしさに大変興味を持ちました」

 
上記3点は、残念ながら説明会や採用サイトなどで、広報や人事が散々アピールした内容をそのまま復唱しているにすぎません。どんな人物なのか? が一向に見えて来ない点がダメな理由です。

 
・「御社のサービスを世の中に広める事で、社会貢献をしたい」
社会貢献という一見使い勝手の良い単語を使用する事で、とても聞こえの良い文章にはなるものの、よく考えると「つまりあなたとは?」という部分が盛り込まれていない事に気がづきます。具体性を意識しましょう。

 
採用担当は毎年様々な志望動機を目にしているので、どんなに時間をかけて作った志望動機でも、方法を間違えたまま作成してしまうと「これはきっと自分の言葉ではないだろう」とすぐに見抜きます。仮にベテランの採用担当が読んでも大丈夫な志望動機を作るためにも、企業研究と自己分析についてしっかり時間をかけて吟味してみてください。

 
 
 
続いて、毎年200名以上の大学生を大手企業・人気ベンチャー企業に複数内定させているキャリアコンサルタント井上真里さんから、自己PRの書き方を解説していただきます。

 

 自己PRのポイントはメリットと納得感

就職活動で自己PRというものは当分無くならないだろうなあと思います。これまで、自分をアピールする機会があった人も、まったく人前に出てこなかった人も、就活になると一斉に「あなたをアピールしてください」というリクエストに応えていくことになります。

 
自己PRは履歴書やエントリーシートによくある項目なので、話す前に文章で書くことが多いでしょう。書類選考を突破するためにも、相手に魅力的に伝わる自己PRを書いておきたいところ。そこで今回は、自己PRのポイントと書き方を例文付きで解説します。

 
自己PRは、自分のセールスポイントを相手に伝えるものです。そこでおさえるポイントは、相手のメリットになることと納得感の2つだと考えます。まずはこのポイントを理解しましょう。

 
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 自分よがりなアピールから、相手のメリットになる自己PRに

ポイントの1つ目、“メリット”というのは、あなたが伝えるセールスポイントが相手にとって魅力的であるということです。あなたの自己PRは、独りよがりなものやメリットに欠けるものになっていないでしょうか?

 
たとえば、「相手の立場に立つことを大切にしています」とか「目標に向かって努力します」というテーマを話している人がいます。このような自己PRは、直接的に相手のメリットには感じにくいでしょう。突っ込んでみると、相手の立場に立つことを大切にしているから何なの? 心優しさアピール? 目標に向かって努力していたとして、実際に成果を出せるの? どうなのそこのとこ? ……といったように、相手の欲しいものを渡せていないので、メッセージとして弱くなっています。

 
相手にメリットが伝わる効果は、一般的な商品やサービスの売り方を参考にするとよくわかります。たとえば「これはビタミンCが豊富に入っているサプリメントです」と言われるよりも、「これはシミ予防に効果的なサプリメントです」と言われた方がメリットを感じられるのではないでしょうか。上手に商品やサービスをプロモーションしている会社は、相手に直接メリットが感じられる表現で広告宣伝をしています。

 
先ほどの例も、相手のメリットを意識すれば、改善する余地が見えてくるのでははないでしょうか。

 
相手の立場にたつことを大切にしている→相手のしてほしいことを察して行動できる
目標に向かって努力する→困難な目標にも諦めずに結果が出るまでやり切る

 
表現方法のテクニックというよりは、相手目線でメリットを考える姿勢を持つことが大切です。そのあたりの詰めが甘い人が多いので、できる人は言葉に力がこもるし、目立ちます。

 

 納得感をつくるのは証拠と再現性

自己PRを考える上で2つ目のポイントは“納得感”です。自分のセールスポイントを伝えたとして、それが信じてもらえなければ、自己PRとして成り立ちません。自己PRに納得感を生み出すのは証拠と再現性です。

 
たとえば、リーダーシップがありチームをまとめあげる力をアピールしようとしたら、初めて自分と会う人に、その証拠を説明する必要があります。
証拠となる情報として、

 
1. 自分が経験したチームの構成や人数
2. ぶつかった困難のハードルの高さや成果

 
といったことを説明するのではないでしょうか。そこでチームの人数が少なかったり、成果が客観的にわからないと納得感はイマイチ薄いでしょう。だから、客観的にわかる数字などを使って表現したほうがいいというアドバイスが多いのです。

 
そして、納得できる証拠と合わせてもう一つ大切なのが再現性です。よく「自己PRでは○○のエピソードを話そうと思っています」相談されますが、セールスポイントはあるひとつのエピソードで発揮しただけではなく、いろいろな場面で発揮されてきたものなのかを考える必要があります。

 
色々な状況でも、その強みを再現できるからこそ、これから仕事でも発揮できる可能性が感じられるからです。たとえエントリーシートが通過したとしても、面接では「ほかにその強みを発揮したエピソードは?」と聞かれることがあります。ここで答えられなくては、「じゃあたまたまその時できただけじゃない?」とやはり納得感のあるセールスポイントとは言えないでしょう。

 
自己PRは、すごいエピソードを起点に考えるのではなく、これまで何度もあなたの行動や生き方にあらわれて物事をいい結果に結びつけている特徴を見つけて伝える方が納得感があります。

 
セールスポイントに納得感を持たれるためには、証拠と再現性。ポイントはつかめましたか?

 
2-1 2

 

 苦手克服ストーリーを自己PRに使うときは慎重に

自己PRで自分の良さを伝えきれない典型的なパターンとして、自己PRを苦手克服ストーリーで語ってしまう人がいるので紹介しておきます。

 
・作業が遅かったので、早くできるようにがんばった
・人見知りで、接客でお客さまと話すことに慣れようとした
・大きな声が出せなかったので、販売で大きな声を出せるようにした

 
このように、苦手にどう向き合うか、どこまでどんな風に頑張るのかという姿勢はよくわかるエピソードなのですが、この話を自己PRにするのはちょっと待った! 苦手克服ストーリーにはあまりその人のセールスポイントが語られていないことが多いのです。

 
たとえば、アルバイトのことを話そうとして、人見知りではじめ接客は大変だったが克服したというエピソードを中心に書いた場合には、その人の苦手なことが全面的に伝わります。

 
しかし、アルバイト中の別の側面として、そんなに努力しなくても限られた時間内に複数の仕事をやりきるのが得意だったり、情報量が多い仕事でも、もの覚えが早くて評価されていたりしたのなら、そちらを中心にセールスポイントとして書いた方がよっぽどあなたのウリが伝わります。

 
このような場合に、「人見知りの自分」を中心に書いてしまうと「作業がすばやい」ことや「吸収力がある」というようなその人の才能が隠れてしまうわけです。

 
苦手克服ストーリーほど、思い入れがある一方、才能が発揮できていたことは、自分では当たり前すぎてセールスポイントだと思っていないので見落としがちです。客観的に、あなたのセールスポイントをひろっていくためには、周りの人から評価されたことや長所だと言われることを聞いていくのも参考になります。

 

 自己PRは商品の宣伝が手本になる

自己PRを構成していていく前に、商品の宣伝に置き換えて「メリットと納得感」というポイントをおさえるということについて更にイメージを深めましょう。

 
何を売り込むかは、あなたの好きなものを想像してもらっていいのですが、ここではスイスイ走れる自転車を売るとします。

 
まずは、お客様の興味をひくためにその商品の一番のセールスポイントを伝えます。これが相手のメリットでないと意味がありません。

 
「これまでにない軽い走りを実現する自転車です!」

 
その上で、お客様にその根拠を納得してもらうための証拠を説明していきます。

 
「開発に○年を費やし……」
「業界初の○○を採用!」
「○○式のペダルとタイヤの連動で……」(証拠)

 
そして、締めくくりとして、その商品があることで実際にどんなメリットがあるのか具体的に想像させる提案をしていきます。

 
たとえばサイクリングが趣味で職場に自転車で通う男性会社員には「長距離でも疲れ知らず、足の負担も少なく快適に走行できます!」という提案がいいかもしれません。
子供を毎日幼稚園まで送る2児の子持ちのママには「お子様や重い荷物を乗せてもスムーズに走行できます!」かもしれません。

 
このように、自分のセールスポイントを相手にメリットに感じられるように伝えていくには、自分と相手の理解がどちらも必要なのです。まとめるとこのような順序になります。

 
1. 自分のセールスポイントを伝え
2. そのセールスポイントについて確かにそうだと思われる根拠を説明し
3. そのセールスポイントが相手にどんなメリットを与えるかということを伝える

 
自己PRもこれと同じように考えてみましょう。自己PRで大学生時代のエピソードを話すかどうかというのは、重要ではありません。あくまでエピソードは、あなたのセールスポイントを納得してもらうための「手段」でしかないのです。だから、セールスポイントを伝えるための手段が、生い立ちでも、高校時代のことでもアルバイトでもサークルでもボランティアでも留学でも……そのこと自体に意味はありません。

 
あまり凝り固まらずにどうすれば自分のセールスポイントが伝わるのか、頭を柔らかくして考えましょう。

 
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 伝わりやすい自己PRの構成パターン

それでは、実際にメリットが伝わりやすい自己PRを書いていきましょう。これまで紹介してきたポイントをおさえていることが大切で、どんな構成にするのも自由ですが、今回は書きやすいパターンを紹介します。

 
1. セールスポイント
例)「私は、人に情報を伝え動かすことが得意です」「チームでは広報宣伝役として力を発揮します」

 
まず、自分はこんな人! と結論を先に書きます。読み手は「○○という強みがあるんだな」という結論がわかるので、以降の情報が頭に入りやすくなります。

 
2. 根拠になるエピソード
例)所属していたバスケットボールサークルでは、サークルの新入生勧誘時期に、私は率先してホームページの制作や直接的な勧誘活動を行いました。ホームページは数日間ソファの上で寝起きしてサークルの魅力が伝わるものを作り上げ、勧誘も目標をたてて声かけをした結果、昨対比2倍の入部希望者が入るという成果を残すことができました。新入生からも「○○さんがいたから入った」と声をかけられることが多かったです。

 
セールスポイントが納得されるようなエピソードや根拠を書きます。どんな環境で、どんな出来事・課題があり、どのような行動をとったのか書きます。「ただ、こんなことをした」という行動だけではなく、数値的な結果で表せることは書きましょう。数字で表すことが難しい場合も程度が伝わる表現や、周りからの評価など客観的な評価や第三者の視点を入れます。これで、読み手はレベルを理解しやすくなります。

 
3. 相手への提案(どう活かしたい・貢献したいか)
例)今後も、世の中にまだまだ出ていない商品やサービスを、Webやダイレクトなコミュニケーションをつかって必要な人に届けていく力を磨いていきたいです。自分が介在したことで、作り手の商品やサービスが買い手に届くことで双方の幸せをつくりたいと思います。

 
読み手は、「この強みは、当社にメリットがあるか?」「当社の姿勢と合うか?」と考えながら読んでいます。セールスポイントを伝えるだけにとどまるのではなく、その強みを今後どう活かしたいか、貢献したいかというところまで考えて提案できるようにしましょう。

 

 自己PRは相手に合わせて変えるのか?

最後に、よく「自己PRは相手に合わせて変える必要があるのか?」という質問について。私の考えとしては、自分のセールスポイントをコロコロ変える必要はないと思います。

 
無理に相手に合わせようとして、結果的に最強ではないカードで戦うことになってしまっては、ほかの人と比較されると不利になってしまうでしょう。そして、自分のセールスポイントを活かせない会社に入社して働くのが本当に幸せなのか? という疑問もあります。

 
そこで、セールスポイントは大きく変えずに、相手に合わせた提案の部分だけを個別に考えてみてはどうでしょうか。先ほどの例を使って考えてみましょう。

 
セールスポイントの例:私は、人に情報を伝え動かすことが得意です。

 
提案1:今後も、世の中にまだまだ出ていない商品やサービスを、Webやダイレクトなコミュニケーションをつかって必要な人に届けていく力を磨いていきたいです。自分が介在したことで、作り手の商品やサービスが買い手に届くことで双方の幸せをつくりたいと思います。

 
提案2:中小企業のクライアントが伝えきれていない魅力を言語化して、仕事を探している方に魅力的に伝えていきたいです。自分が介在したことで、企業と応募者のマッチングを生み出して、社会に活力を生み出していきたいと思います。

 
このように、同じセールスポイントでもいろいろな活かし方をイメージして提案を変えていく方法がおすすめです。売れる営業は、相手をまず理解しようとします。あなたも、自分の営業担当として、自分のことも相手企業のことも理解して、自信が持てる自己PRをつくっていきましょう。

 
 

【筆者プロフィール】

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佐藤 大(さとう だい)

 
神奈川県出身。採用コンサルタント。就活アドバイザー。神奈川県の自動車販売ディーラーにて人事、採用に関する業務に約8年携わり、累計で延べ3,000名の学生の面接や就職相談に応じる。「人」の持つ可能性や組織に与える影響のの大きさを数多く目の当たりにしてくる中で、さらに追求すべく2015年より独立。高校生、大学生に向けての就職指導、企業の採用支援、採用担当者育成などにに携わり現在に至る。

 
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井上 真里(いのうえ まり)

 
キャリアアドバイザー。石川県金沢市生まれ。慶応義塾大学経済学部在学中より、人材教育企業にて学生キャリア支援のサポートに関わり、卒業後は東証一部上場の富裕層向け住宅メーカー・IT企業にて中途・新卒社員採用をはじめ、教育研修、異動や退職など学生のキャリア選択から、社会人のキャリアに関する領域を幅広く経験。新入社員マナー研修講師としても高い支持を受ける。現在は全国の高校生や大学生を対象に面接トレーニング、キャリア、マナー分野でのマンツーマン指導やセミナーを多数開催。毎年マンツーマン指導や勉強会に参加した200名以上の大学生が、大手企業・人気ベンチャー企業に複数内定している。

 
 

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