• 2016.02.1004:00
  • 面接/筆記/ES対策

【事例あり】キャリアコンサルタントが教えるグループディスカッションを通過するためのOK・NGポイント

今回は2名のキャリアコンサルタントの方に「グループディスカッション」の必勝法とNG事例を解説していただきます。
まずは、毎年200名以上の大学生を大手企業・人気ベンチャー企業に複数内定させているキャリアコンサルタント井上真里さんから、グループディスカッションでやっていいこと・いけないことを解説していただきます。

 

 グループディスカッションは面接よりも対策しにくい?

毎年私は仕事で就活生と話していますが「グループディスカッションの選考基準がよくわからない」という声を聞きます。自分がうまくいったと思っても不合格通知がきたり、また全然ダメだったと思っていても合格だったりと、何を見て判断されたのかわからないと感じる人が多いようです。

 
私も自分の就職活動で、いくつかのグループディスカッションを体験しましたし、新卒で人事になってから採用担当として約9年間グループディスカッションの選考を担当しました。形式も、ひとつのお題について話し合うタイプのものから、ゴールを目指して話し合って進めるワークに近いものまで形式はいろいろ。また、人数も1チーム4名から多くて15名くらいのものまでありました。

 
自信があったのに不合格だったりすると、グループディスカッションに苦手意識を持ってしまい、どんどん迷走している人もいます。そこで、今日は私が現場でお伝えしているグループディスカッションで見られているポイントと通過率をあげるコツをお伝えします。

 

 グループディスカッションの目的を理解すると気づくことがある

まずは、なぜ選考に面接ではなくグループディスカッションがあるのかということから考えた方がその企業の意図が見えてきます。企業がグループディスカッションを選考に取り入れる目的は大きく2つです。

 
1. チーム内でのコミュニケーション能力が知りたい
面接で、1対1のコミュニケーションはできます。しかし、仕事は同僚や社外の人と意見を出し合ったりまとめたりして進めていくことも多いので、ディスカッションを疑似的にしてもらうことによってチームでのその人のキャラクター(ふるまい方)を想像して企業との相性を見るのです。

 
たとえば、チームのメンバーと意見を衝突させることなく話を進める協調性、自分から役割を見つけて参加しようとする主体性、話題をまとめたり会話を活性化したりするリーダーシップがわかります。つまり簡単にいうと、「この人がチームの話し合いにいてほしい人かどうか」ということがわかりやすいのがディスカッション形式なのです。これまでのホームルームでも、ゼミでも、サークルでもアルバイトでも、話し合いの場にいてほしい人と、いてもいなくても同じ人、いない方がいい人……こんな風に分かれていたのではないでしょうか。

 
だからこそ、グループディスカッションはどの役割でもいいから、チームの話し合いを前に進めることに徹しましょう。役割分担を決めるディスカッションと決めないディスカッションがありますが、どの役割についたかは合否を決定しません。

 
メンバー全員が納得できて、求められたことに対してその時のベストと思える結論を制限時間内に出すことに全力を注ぐのが大切です。そんなときに、自分がどう見られるかということに意識を向けていると自分よがりになって暴走するか、縮こまってしまい逆効果になることが多いです。

 
2. 多くの応募者を効率よく選考したい
グループディスカッションを企業が取り入れる2つ目の目的は「効率性」、こちらも1つ目の目的と同じくらい大きいです。たとえば、30人の応募者に対して合否を出したいとします。1人の面接に少なくとも20分かけたとすると、合計で20分×30人=10時間かかってしまいます。面接室への出入りや出迎えの対応などを考えると合計ではもっと時間と手間がかかるでしょう。

 
この30人をグループディスカッションの選考に呼ぶと、2時間くらいで済んでしまうこともあります。対応する社員は増えますが、個別に面接をするよりも、会場も時間もかかる負担をぐっと縮めて、多くの応募者に会うことができます。

 
効率よくさばかれているようで「なんか嫌な感じだな」と思う人もいるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。たくさんの応募者がいると、企業は一人ひとりとじっくり話す時間がなかなかとれません。だからといって、エントリーシートに書いてある内容だけではその人の印象やコミュニケーション能力などわからないこともたくさんあります。だから、複数の学生に一度に集まってもらって、それぞれのキャラクターを比較できるグループディスカッションの方法が取り入れられています。わかりやすい学歴やTOEICの点数だけで合否を判断するよりは、その人自身を見ることができる合理的な選考方法だと言えるでしょう。

 
もちろん、グループディスカッションは面接よりも一人ひとりのことを深く聴いていくことはできないので、ざっくりとした見た目の全体的な印象やちょっとした一言が合否の判断に大きく影響するということもあります。話す内容だけに気を取られるのではなく、姿勢や話し方、表情や声のトーンなど周りから見た印象に気をつかいましょう。

 

 グループディスカッションの選考基準と通過率は?

勘違いしている人も多いのですが、グループディスカッションという同じ選考プロセスでも、会社によってプラスになるポイントと、通過させる割合はまちまちです。だから、あなたがベストを尽くしたとしても通る会社もあれば通らない会社もあります。これは面接と同じですから理解しておきましょう。

 
応募者が殺到するようなある大手メーカーのグループディスカッションでは、活発に話したり意見をまとめたりするリーダーシップを発揮することは特に求められていないそうです。それよりも創造力があって、一言でも何か新しいアイデアを出せることがいちばんプラスのポイントだという話を聞きました。

 
また、上場している卸売企業では、協調性やリーダーシップが感じられる発言をしているかを重視していますし、総合商社のうちの1社では、人事から選考担当者に与えられる合格基準は「自分より能力が高いと思える人」だそうです。このように企業の見ているポイントは違いますし、その年に採用したい人のタイプや数によっても微妙に変わっていくでしょうから、絶対にどんな企業でも合格する作法はないと思った方がいいでしょう。

 
通過率についても、まちまちです。私が選考担当していた時にグループ全員が不合格のこともありましたし、だいたい4~6割と通過率を設定する企業もあります。また、どうしてもグループディスカッションでは、その時同じ選考に参加していたメンバーとの相対評価になりがちです。自分がベストを尽くしたと思っても落ちてしまったなら、それは応募した会社が重視するポイントと自分の強みが合わなかったとか、同じチームでほかにもっと企業に合う感じの人がいたということです。あまり気にしすぎないことです。

 

 グループディスカッションで幅広く使えるOKな行動

ここまで読んだあなたは、絶対通過マニュアルはないのだとわかってきたのではないでしょうか。とはいえ、メンバーとひとつのテーマについて話し合って結論を出すためにプラスの行動は何かと考えれば、おさえておくといいOKポイントはあります。このポイントはおさえておくと幅広い企業に有効というポイントを挙げておきますのでぜひ実践してみてください。

 
1. よく聞きよく話す(建設的に)
話を聞くときの反応がよかったり、人の意見から話をさらに発展させていくことができたりする人は、ディスカッションを活性化していけるので印象に残ります。自分が話すことばかり考えていると、相手の意見が頭に入ってこないので話を受け取って発展させていくことはできません。聞く姿勢をもちましょう。耳だけ向けるのではなく、聞いていますよという姿勢を目線や表情、姿勢で相手に伝わるようにします。

 
また、ディスカッションも否定から入るのではなく、結論を出すために前向きな意見やアイデアを出していくようにしましょう。

 
2. 業界のことや会社の下調べをしておく
「次の選考はグループディスカッションです」と言われた場合と、「次の選考は面接です」と言われた場合。あなたは企業のことについてどちらも同じくらい調べているでしょうか。ディスカッションに参加するときの方が、サボり気味になったりしませんか?

 
ディスカッションで出されるお題はいろいろあります。少子高齢化や年金、TPPなど社会問題であることもあれば、都会と田舎暮らしどっちがいいかとか無人島に持っていくものは何かという抽象的なテーマについて話すこともあります。このように、その会社と無関係なことも多いですが、企業によっては「当社の夏の新製品を考えよう」「採用で応募者にどんなアピールをしたらいいか」といったように、その会社に関するテーマを出すことがあります。

 
この場合、その会社の事業や製品のこと、業界の知識の有無で話せる内容に大きく差が出てしまいます。会社を知っている人と知らない人も、良くも悪くもバレてしまうわけです。

 
グループディスカッションだから、まだ業界や会社のことを知らなくても大丈夫だろうと油断していたら、まったく手も足も出なかった……ということもあるかもしれません。面接に行くときと同じように会社のことは調べた上で臨みましょう。

 
3. 時間を守って結論を出す
どんな仕事でも、期限がありますから、グループディスカッションでも求められた回答を制限時間内にまとめることが最優先です。テーマと話し合いの時間を提示されたら、スタート時に必ず終了時間を確認しておきましょう。また、単に結論が出ればいいのか、発表の準備をしなければいけないのかによっても時間の使い方は変わってくると思います。

 
「まとめにはいるまでの大体の時間配分は決めた方がいいでしょうか?」などはじめに計画をたてるのも効果的です。そして、計画をたてて満足するのではなく途中経過でも時間に配慮しながら周りのメンバーにその残り時間を伝えつつ、時間内に話がまとまるようにコントロールしていきます。時間通りに話し合いが終わるということは大切です。

 
4. テーマを意識してずれないように進める
話し合いが進んでいくと、話題がテーマからずれることがあります。テーマがずれていることに気付いた時は、そのままにせず伝えましょう。「いま、テーマが○○にずれているような気がしますが、時間があと○分ほどなので、少し話を軌道修正しませんか?」などと空気を悪くしないように伝えるのがいいですね。

 
また、テーマが考えにくい時はいくつかに考えるステップをわけるのも効果的です。「○○社の顧客満足度をあげるには?」→「○○社の顧客は誰か?」+「顧客が求めていること何か?」+「求めていることに対して何ができるか?」と分解するとメンバーみんながディスカッションを進めやすくなります。

 
4. 他のメンバーの理解度や納得感を確認する
ディスカッションは、だれか一人が結論まで突き進んでいけばいいものではありません。全員で意見を話し合って合意をとっていくことが大切です。そこで、話しすぎて目立っている人と話していなくて逆に目立っている人に気づいたら、自分からコミュニケーションをとるのが有効です。

 
話の輪に入れていない人には「○○さんはどう思いますか?」とフォローするように声をかけるということもできるでしょう。とにかく自分が話さないと! と焦っていてはちょっとの間があればすかさず自分の意見を言いたいでしょうから、全員で話していくんだということを意識していなければできません。逆に話し続けている人には、勇気を出してストップをかけるのも大切です。「いいですね! 時間も限られていますので、ほかの意見も出し合いませんか?」など相手を認めてから進めると丸くおさまるでしょう。

 
また、時間がたって話し合いが活発になってくると、議論がぐちゃぐちゃと複雑になってくることもあります。その時には話についていけなくなった人も出てきますので、これまで出た意見を整理したり振り返ったりする時間をとることを提案するのもいいでしょう。

 
限られた時間では難しいですが、少数意見も大切にして、最終的な結論は学校や議会のように多数決で決めようとするのではなく、全体が納得できるようにしていく姿勢をもってください。グループディスカッションで、選考担当者に「多数決で決めるよりも合意をとってほしかった」というコメントをもらった人もいました。

 

 自分のできることから取り入れていく

ここまで挙げたようなことを全部実践しようとすると、おそらくヘトヘトになると思います。でも本当に実践できるようになれば、あなたは素晴らしい意見やアイデアを言える必要はありません。それでもグループディスカッションで大活躍できて通過率があがるはずです。ぜひ自分のできることからでも意識してみてください。
 
 

続いて、延べ3,000名の学生の面接や就職相談に応じてきたキャリアコンサルタント佐藤大さんから、グループディスカッションでのNG事例をご紹介いただきます。

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