• 2016.04.2611:30
  • 就活マナー

キャリアコンサルタントがOB・OG訪問で気をつけることを伝授。方法やマナー、時期などを解説

今回はOB・OG訪問のやり方についてです。OB・OG訪問では、失礼のないようにしたいですよね。
まずは、毎年200名以上の大学生を大手企業・人気ベンチャー企業に複数内定させているキャリアコンサルタント井上真里さんから、OB・OG訪問の時期ややり方を解説していただきます。

 

 就職活動の定番“OB・OG訪問”の疑問にお答えします

就職活動で企業を知るための定番、OB訪問。これまで大学生活を送っていると、企業に勤めている人にじっくり仕事の話を聞くことがあまりない人も多いのではないでしょうか。でも、就活を初めてみると周りに「OB訪問? 15人くらいしたよ。」と豪語する意識高い系就活生がいたりして「もしや自分は圧倒的に遅れをとっているのでは……」と焦ることもあるようです。
そこで今回は、OB・OG訪問の方法や時期、相手に失礼にならないためのマナーなどよく受ける質問を中心にQ&A形式でお答えしていきます。

 

 OB訪問の時期や方法

Q. OB・OG訪問ってそもそも何をすること?
OB・OG訪問は、業界や企業、具体的な仕事内容を知るための社会人へのインタビューと考えるといいでしょう。社員と学生が1対1で会うこともあれば、複数名で会うこともあります。“OB・OG”というキーワードの通り、自分の在籍校の卒業生と会うことが元々の意味。同窓でなくても、Web上での出会いや知人の紹介などを含めて、興味のある業界や企業で働く人全般を訪問することを意味します。

 
Q. OB・OG訪問は何のためにするの?
就職サイトや本だけではわからない具体的な仕事の内容について理解することで、イメージとのギャップを埋めることができます。たとえば、食べることが好きなので食品メーカーに行きたいと漠然と考えている人が実際に食品メーカーの社員が何をしているのかを聞くことで、冷静に自分が向いている仕事なのか考え直せるはずです。就職活動生からは違いがわかりにくい同業他社との違いなどについても教えてもらいやすいので、会社や仕事がわかってきて漠然とした志望動機も地に足のついたものになります。

 
場合によっては、応募書類や面接で想定される質問をしてダメ出し(とても有効なアドバイス)をしてくれることもあるので選考対策にもなります。

 
Q. OB・OG訪問の時期はいつ頃がいいのか?
OB・OG訪問の時期に早い、遅いはありません。就職活動のステップと自分の業界や仕事の理解度に応じて先輩に質問できることは変わるので、目的に応じてアポイントをとりましょう。しかし、学生から人気の企業で働く社員は、就職活動がスタートしてから選考の前半にはOB・OG訪問の依頼も多くなります。慌てて依頼するよりも、早め早めに先輩にアプローチする方が相手にも負担がありません。最近では内定が決まった後の企業選択や、配属希望を出す前に社員の人に相談する人もいます。

 
Q. OB・OG訪問の相手はどうやって探しているのですか?
OB・OG訪問は、元々知っている先輩に時間をとってもらうことのほか、知り合い経由で人を紹介してもらって初めて会うこと、また応募する会社側から紹介してもらうことなどがあります。以下のようにいろいろな方法があります。

 
◆学校のキャリアセンター(就職支援課)
◆ゼミ・研究室・部活動・サークル
◆家族・友人
◆アルバイト先
◆OB・OG訪問できるWebサービスや就職支援を目的にしたカフェスペース
◆応募した企業

 
個人情報の観点から卒業生の就職先と連絡先の情報をどこまで開示しているかは学校によって異なります。所属しているゼミや部活動であれば先生や先輩経由で興味のある業界の社会人にコンタクトをとりやすいでしょう。はがきで連絡をしたら意外とすぐに連絡がもらえました! という人もいました。

 
企業の採用活動の一環として、社員を紹介してくれるところもありますが、ひとりひとりのリクエストに応えるのも大変なので、企業からの案内がない限りは、応募者からのリクエストに個別対応してくれるのは内定以降となることが多いです。

 
最近増えているのは、社会人とマッチングできるWebサービスや、食事や飲みながら話すカフェ・イベントです。これまでのような就職サイトで大勢の学生に向けた広報活動から、直接学生と会うダイレクトリクルーティングの活動にシフトしている流れもあります。

 
私は学生時代にアルバイト先に企業の経営者の人がよく来ていたので、就活の時期だと知ったお客さんから「興味があれば、僕に連絡してね」と名刺をいただくことがありました。名刺をいただいて「おお、あの企業の取締役の方だったのか!」と驚くこともありました。

 
最近では、新橋の立ち飲み屋に出かけて隣り合ったお客さんと仲良くなって話をする機会をつくった人もいました。OB訪問は学校のイメージが強いかもしれませんが、学校の外の環境でも、自分から相手とコミュニケーションをとったり、熱心に仕事をしたりすることでつながる縁もあります。

 
Q. OB・OG訪問を依頼するときの手段は、電話? メール? 何がいいですか?
OB・OG訪問の依頼はこの手段がいいというものはありません。ただ、連絡をするときは自分の名前と電話番号やメールアドレスなど連絡先を伝え、相手にとって都合のよい連絡手段で連絡してもらえるようにしましょう。

 
Q. OB・OG訪問をする場所はどこですか?
OB・OG訪問は、相手の勤務先の近くのカフェなど公共の場所に出向くことが多いですが、会社主催のものはオフィスで行うこともあり様々です。自分の都合ではなく、当然時間をとってくれる相手に合わせます。待ち合わせ場所に時間通り間に合えばいいのではなく、自分が先に到着しましょう。

 
Q. OB・OG訪問は何人すればいいでしょうか?
何人すればいいかと疑問になる時点で、OB・OG訪問すること自体が目的になってしまっているかもしれません。自分の目的があいまいなまま、OB・OG訪問をしても意味はありませんし、時間を取ってくれる先輩に迷惑です。自分がOB・OG訪問する目的は何かということを考えましょう。

 

 OB・OG訪問で失礼にならないマナー

Q. OB・OG訪問の服装はスーツですか?
OB・OG訪問には、就活と同じように必ず上下黒スーツでいく必要はないでしょう。しかし、企業訪問にサンダルで来た就活生がいて呆れたという話も聞いたことがあります。これはくだけすぎですよね。相手の年齢や、どんな人に会うかという業種に応じて襟付きのシャツやジャケットを羽織るなど違和感のない服装にしましょう。清潔感を大切に。

 
Q. OB・OG訪問の流れを教えてください。
基本の流れを紹介します。

 
1. メールや電話で、OB・OG訪問の許可が取れたら待ち合わせ時間・場所・連絡先を確認する。
事前に企業のホームページで調べられることは調べ、質問したいことを考えておく。

 
2. 待ち合わせの時間よりも早く到着して、店の場合は落ち着いて話せる場所を自分が確保する。まず名前と時間を取ってもらったことのお礼を伝える。

 
3. 座席に座る。初対面の場合はすぐに質問から入るより、簡単に自己紹介として大学の勉強や就職活動状況、今回OB訪問で聞きたいことを話す。公共の場では話の内容や声の大きさに配慮する。

 
4. 考えてきた質問を聞きとることに必死になるより、会話の流れを優先して気になったことやもっと聞きたいことを聞いていくと話が深まる。

 
5. 込み入った質問や頼み事は時間に余裕を持つこと。お会計は自分で払う。先輩が払ってくれる時は、丁寧にお礼を。別れ際にもう一度お礼を言う。

 
6. 帰宅したら、その日か翌日の朝にはお礼のメールを送る。

 
Q. メッセージを送るときのマナーは?
パソコンからではなくスマートフォンからメールを返信するとき、またはFacebookやLINEなどのSNS上でメッセージを送ることも増えます。気軽に送信できるからこそ「いったい誰?」と驚かせないようにしましょう。内容に入れるのは以下のような項目です。

 
◆相手の宛名を書く
◆あいさつ・名乗り
◆話を聞きたい旨を書く
◆相手に依頼する理由を書く
◆対応してもらえるかを質問する

 
共通の知人の紹介で連絡する場合は、「○○さんの紹介でご連絡しました」と伝えるとスムーズです。メールは長く書けばいいというわけではなく、相手が判断しやすいように「話を聞きたいという要望・なぜ相手に依頼したのか」という情報を読みやすく書きます。あなたのメッセージを読むことも相手の時間と意識を使っていますのでスッキリとわかりやすく!

 
(例文)
○○株式会社
○○様

 
こんにちは。△△大学 ■■学部の山田太郎と申します。
××先輩からご紹介いただいてOB・OG訪問のお願いでご連絡しました。

 
現在就職活動をしており、人材業界に大変興味があり企業研究をしております。

 
人材業界にお勤めの方がおらず困っていたところ、サークルの先輩の
××さんに○○様を紹介いただき、ご連絡いたしました。

 
大変お忙しいところ恐縮ですが、詳しいお仕事の内容や求められている能力など、
ご質問させていただけないでしょうか。
お時間をいただけるようであれば先輩のご都合のよい場所に伺います。
よろしくお願いいたします。
—————————
○○大学△△学部 山田太郎
電話番号 080-XXXX-XXXX
メール mail@xxxx.com

 

 こんな時はどうしたらいい?

Q. 先輩から名刺をもらいましたが自分も名刺は必要でしょうか?
自分の所属と名前がわかりやすいように名刺を渡しますが、就活生が名刺を渡す必要は特にありません。相手からもらった名刺は、「相手の分身」と考えて扱います。資料やノートを上に置いたり、いじったりしないでください。話をしているときには机の上に置いておくのが基本と言われますが、机の上にスペースがないのに出したままにしていると汚れたり落としたりするので「ありがとうございます。頂戴します。」と一言添えて手帳などにしまいましょう。

 
Q. OB・OG訪問で、ほかの先輩を紹介してもらうことはできるでしょうか?
私はサークルの先輩から、お友達を紹介してもらったことがありますが、誰にでも紹介をお願いできるかは関係性次第です。あなたは、自分の仲間を紹介したいと思える人でしょうか。

 
Q. 相手から返事が来ないのですが?
依頼を引き受けるかどうかは相手が選ぶことなので、返事がもらえないこともあります。別の人を探すのが無難かもしれません。既に知り合い経由で依頼を許可してくれているのであれば、紹介してくれた人に相談してもいいでしょう。

 
Q. 顔文字を使ってはだめ、メールは自分で終わらせるなどのマナーを習いましたが、そこまで徹底するべきですか?
面識がない目上の人に気軽なスタンプや顔文字は失礼ですが、相手との距離が縮まっているのに固い敬語を貫くのもコミュニケーション能力に欠けます。また、メールも要件のやりとりが終わったのに、自分のメールで終わらせることにこだわる必要はありません。文脈に応じて判断しましょう。どんな時でも、返信は早くする人の方が喜ばれます。

 
Q. OB訪問の日程調整中に先輩から返信がなくなりました。再度依頼してもいいですか?
日程調整中に、先輩からの連絡が途切れたという相談を受けたことがあります。その人の場合は、少し後に連絡があったそうです。忙しいと、調整が抜けてしまうこともありますので、3日以上待っても何の返信もない場合は確認のメールをしてもいいでしょう。その時には以下のような情報をメールに記載します。

 
・何日に連絡したか
・自分の見落としや送信エラーの可能性も考えられるので「メールが届いていなかったようでしたら大変申し訳ございません。」などと書く
・あらためて可能なスケジュールを伝える

 
Q. 遅刻をしてしまいそう/決めた日時の変更をしてもらいたいときはどうしたらいいでしょうか?
遅刻や日程変更をしないのが前提ですが、当日に緊急のことがある時には、メールをすぐにチェックしているかはわかりませんのでまずは電話で連絡しましょう。つながらない場合は、留守番電話に伝言を残してメールでも連絡します。リアクションがなければまた時間をおいてもう一度電話するくらいがいいでしょう。

 
Q. 就活が終わったのですが、違う業界に行ったとしても報告したほうがいいでしょうか?
OB・OG訪問をした先輩には、就職活動が終わって進路が決まったら個別に報告と協力してもらったことに感謝をメールや手紙で伝えましょう。同じ業界や企業であればもちろんですが、当初志望していた進路と変わっていたとしても報告することに意義があります。
私もよくありますが、一度会っただけでも「あの子はその後どうしたかなあ」と気にしているもの。もし先輩があなたのことを忘れていたとしても、連絡をもらって嫌な気持ちになる人はいませんから、手間を惜しまないことです。

 
お互いが「会ってよかったな!」と思える時間を自分からつくるように心がけましょう。関係がよくなって先輩との距離が縮まれば、結果的にほかでは聞けないような突っ込んだ質問ができたり、応募書類を見てもらったり、面接の練習をしてもらったりと、自分からのお願いもしやすくなります。先輩に対して、感謝と敬意を持って、だんだんと距離感を縮めていくことを意識すると、今後もよいお付き合いができるきっかけになるでしょう。いい出会いになりますように。 

 
 
 
続いて、延べ3,000名の学生の面接や就職相談に応じてきたキャリアコンサルタント佐藤大さんから、OB・OG訪問での適切な質問や会話について解説いただきます。

 

 企業研究における「OB・OG訪問ならでは」のメリット

そもそもOB・OG訪問をするメリットや意義は何でしょうか?

 
一般的に、企業研究の際に参考にするものはたくさんあります。例えば企業ホームページや、採用専門ホームページを準備している企業も増えています。また企業パンフレットも大いに参考になります。また企業説明会で実際の社員を目の前にした説明も参考になるはずです。

 
さらに踏み込んだ情報を知りたい場合は、投資家向け情報もウェブ上で簡単に入手できます。これだけの情報源を入手できれば十分だろうと思いがちですが、ただ唯一弱点があります。それは、これら全ての情報は全て企業側で精査し、「綺麗」で「よそ行きな状態」に整理された情報であるという事です。
つまり生きた情報だけではない可能性もあるという事なのです。

 
それに対してOB・OG訪問は実際の職場で、実際の社員を相手にタイムリーな会話をする事ができるため必ずしも精査された情報とは限りません。企業側や担当者にとっては、打ち合わせや前準備なし応対のため、学生に対しては企業を代表した「一発勝負の場」でもあるのです。そういった意味では非常にリアリティのある情報収集の方法であると思います。

 
具体的なメリットとしては、

 
・生の意見を聞く事ができる
・社員の方の生の雰囲気を感じる事ができる
・普段は聞きにくい本音の話も聞くことが出来る
・社内の様子を知る事ができる
・(場合によっては)未公開の最新情報もコッソリと聞けるかも知れない

 
と、求職者側にとってはこれ以上ない条件下で情報収集ができるのです。
企業側からすると社員の本来あるべき勤務時間を無償で提供している点や、メリットなしに社内情報を開示しているという事を考えると、気軽に訪問するのではなく、それなりの準備や心構えで望む事が望ましいと思います。

 

 OB・OGの立場をまずは考えてから訪問しましょう。

OB・OG訪問と先ほど記載した通り、学生側から見たら非常に好条件な中で企業研究が出来るので良い事づくめなのですが、企業側や、応対する方の立場や状況を予め把握しておくのはとても大切な事です。

 
・担当者はどんな「状況下」で訪問に応じているか?
訪問を対応してくださる担当者さんは、当然ながら暇ではありません。
専門の業務があり、顧客対応を休んだり、営業活動をわざわざストップしたり、チームの他のメンバーにお仕事を負担して貰って対応をして下さっているのかも知れません。仮に訪問する学生の方が10人であっても1人であっても人数に関わらず、何かしらの負担をかけた上で応対して下さっているという事を理解しましょう。

 
・どんな「気持ち」で訪問に応じているか?
学生さんの訪問応対をいくらした所で、社員の方の本業のお仕事には(基本的には)何もプラスにはならないはずです。むしろ時間と労力を取られるという意味ではマイナスの方が多いです。例外があるとすれば、ご担当の方が人事担当、採用担当であった場合の時くらいで、他はほぼ善意で受けて下さっていると思った方が良いと思います。取り急ぎ、「依頼が来たのでとりあえず会ってあげようかな」と思う程度で、それ以上でもそれ以下でもないというのが一番正しい認識ではないかなと思います。
ですから、お時間を自分のために拝借しているという事を把握した上で訪問をする事は最低限大切ではないかなと思います。

 

 訪問する上でNGなマナー

上記のように、企業やご担当者様がわざわざお仕事に充てるべき時間を空けて対応して下さっている事を踏まえて、まず先に訪問をする上でNGなマナーを6種類挙げてみました。理由も含めて把握しておいて欲しいと思います。

 
・挨拶ができない
挨拶をしないという人はまずいないと思いますが、ここでの「挨拶ができない」とは、爽やかに、明るく挨拶ができない事を指しています。
挨拶をするのはあたり前ですが、上記のように爽やかに明るく挨拶ができないという時点でOB・OG訪問をする上ではマナー違反であると考えましょう。
なぜでしょうか? それは先方がわざわざ自分のために時間を空けて下さっているからに他ありません。感謝の気持ちを表す意味でも明るく爽やかに挨拶をしてください。

 
・見た目の印象が悪い
これも最低限のマナーとして考えて欲しいのですが、学生気分のまま社会人の方に会うのは失礼です。相手は仕事モードで会ってくださるので、社会人と同じような服装、ヘアスタイル、メイクなどを意識して訪問しましょう。企業の面接を受けるつもりで準備をしてちょうど良いと思ってください。くれぐれも企業のオフィスの中を先方が連れて歩くのに恥ずかしくない様に配慮しましょう。

 
・馴れ馴れしい
訪問の申し込みをした際に、先方より「当日は楽しみにしております!」「当日はリラックスしてご来場ください!」などの配慮したコメントをいただく事もあると思いますが、これは最低限のマナーがあるという前提でのコメントであって、学生の普段どおりで参加しても大丈夫ですという本心ではないと考えておいて正解です。
お言葉やご配慮に甘えてしまって、くれぐれも慣れたような話し方や態度で訪問する事がないようにしてください。仮に複数回会う事があって人間関係ができたとしても、マナーはマナーですので緊張感を持って接してください。

 
・持論を展開する
訪問は先述した通り、企業の方がわざわざ仕事の時間を止めて、学生のために時間を作って下さっています。ですから基本的には簡潔で的確に質問事項をまとめた状態で、相手の邪魔にならない範囲で時間を過ごし、速やかにお礼を言って終了するという事があるべき流れです。
ですから、先方が仮に配慮して「◯◯さんの考えを聞かせてください」などとおっしゃったとしても、あくまで簡潔に答えるべきで、持論を展開したり披露するのに、適した時間ではない事を認識しておきましょう。
「仕事をストップしてまで、学生の持論を聞いている場合ではない」というのが本音であると思います。担当の方から質問をされた場合は、答える程度にしておき、まずは準備した質問を時間の許す限り、スムーズに投げかけるつもりでいるようにしましょう。

 
・企業について調べていない
会話をしている中で、その学生が事前に自社や業界についてよく調べてきているか、そうでないか? はすぐに察しがつくものです。
そんな学生がいたとしたら、担当者の方は「なぜ訪問してきたのかな?」と不思議に思うはずです。
担当者の方からすると、OB・OG訪問をする=企業に関心がある・業界に関心がある・募集職種に関心があるのうちどれかであると考えています。ですので調べていない様に感じられてしまうと何のために応対しているのかな? と困惑させてしまいかねません。企業に訪問する際、下調べをしてから訪問する事は最低限の礼儀である事を認識しておきましょう。

 
・質問が少ない
これも上記に関連するのですが、質問が少ないという事はつまり「自社に興味がない」または「下調べをせずに訪問してきた」と判断されてしまいます。
担当者としては時間を作って応対しているにもかかわらず大変戸惑うと同時に、わざわざ会っているのに勿体ない時間だなと感じてしまいかねません。
せっかく時間を作って応対する側からすれば、学生から質問が多く飛んできて、好奇心や情報収集の満足度を十分に満たしてから帰って貰いたいと考えているはずですから、双方気持ちの良い時間にするためにも、相手への配慮の意味も込めて、最低限5つは質問を事前に考えて訪問して欲しいと思います。

 

 OB・OG訪問による思いがけない副産物

OB・OG訪問はあくまで学生側が主人公であり、学生主体で行うというものですので、基本的には企業側は受け身ではあるのですが、場合によっては訪問した事による副産物も想定しておく必要があります。
良い副産物としては、応対した社員が好印象を持ち、ぜひ一緒に働きたいなと思った場合、人事側に連絡をして、選考等で有利になるような調整を依頼するケースが考えられます。その場合選考フローが短縮されたり、判定が他の参加者と比較して有利に進めてもらえる可能性があります。
逆に悪い副産物としては、上記の逆で、訪問したことによる悪い印象(質問内容、人物の印象などから)から人事側に情報共有されてしまい、仮に選考に参加した場合でも、選考を通過できない、または少々注意して判断するように申し送りがなされる場合も十分にあり得ます。
その他応対した社員だけではなくて、受付担当やその場を通りがかっただけのメンバーの方の意見も企業によってであったり、場合によっては加味される場合があることを意識しておいて欲しいと思います。

 

 訪問前に準備する事は何か?

・何を得るために訪問をするのかを明確に考える。
訪問する会社の何を知りたいと思っているのか? 仕事内容を知りたいのか? 社員の生の声を聞いてみたいのか? ホームページの情報では自分的には何が物足りないと感じているのか?をできるだけ明確にした上で訪問する様にして欲しいと思います。そうする事で対応してくださる社員の方との会話の方向性や質問の意図も統一感が出て有意義な時間になるはずです。相手の社員の方もその方が会話もしやすく、会話としても盛り上がるはずです。

 
・企業に関する事は一通り調べるのが先方への礼儀です。
ホームページや業界研究に関する本などを通じて、訪問企業の事業内容、差別化要素、課題、業界内での立ち位置などはもとより、業界そのものの現状や今後向かうであろう方向性などもよく調べておくと良いと思います。
特におすすめは投資家情報をしっかりと読む事です。(少々大変ですが)おすすめですので是非実践してみて欲しいと思います。1期分だけではなく、3期分くらいをざっと読んでおき、意図を持った質問を最低5個は準備する事で、対応してくださる社員の方との会話や質問内容もとても濃い内容になるはずです。

 

 そもそも質問とは何か?

訪問した際は、企業からの説明よりも、学生側からの質問がメインになると思います。前述した様に、むしろそうあるべきだと思います。また質問とは受け身でありながらその人を明確に映し出す判断材料になる事を認識しておいて欲しいと思います。
そもそも「質問」とは何か? という事を一旦考えていただきたいのですが、私が人事をしていた際に考えていた事としては、2つの観点で判断していました。質問の量は、本人の理解力や視座の高さ、本人の興味の方向性や考え方に表すと考えていました。また、質問の量や回数は、本人の情熱や好奇心の量、または自社への入社意欲であると考えていました。この意見は私だけではなくて、他の企業のご担当の方も同様ではないかと思います。仮に質問の量と質がともに高いと判断された場合などは、非常に好感を持たれる事は間違いありません。ぜひ良い質問を繰り出す事が出来る様に、下準備を行って欲しいなと思います。

 

 良い質問、悪い質問

質問は大事! と述べましたが、ただ質問をするのではなくて、相手にとっても自分にとっても有意義な良い質問と、相手から見て非常に残念に感じる悪い質問も実際のところあります。下記の様に代表例をあげておきますのでぜひ参考にしてみていただきたいと思います。

 
・良い質問
あくまで実際の仕事内容に直結する内容であれば、基本的には全てに良い質問であると思います。

 
・なぜこの企業に入社したか?
・仕事をする上で学生時代に学んでおくべき事は何か?
・この会社の自慢できる事は何か?
・実際に入社してみてギャップは何か?
・どんな文化の組織なのか?どんな人間が活躍しているか?
・今後の御社のビジョン
・御社の早急に改善したい課題は?

 
などを先方に投げかける中で下調べをした知識や内容を織り交ぜて会話をして欲しいと思います。

 
・悪い質問
福利厚生に関する質問はどの質問も基本的には後回し、または質問自体を控える事が得策です。くれぐれも「残業時間は何時間ですか?」「休日はどのくらい取得できるのですか?」「賞与(ボーナス)は何か月分貰えますか?」などの質問をまず先にしたり、多く質問する事は大変残念で低レベルな思考である事を露呈している様なものですので、ぜひ慎重に質問してください。どうしてもしたい場合は他の有意義な質問を十分にした上でがベストです。
また産休や育休などについての質問は、福利厚生に該当するものの、問題ありません。

 
 

【筆者プロフィール】

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井上 真里(いのうえ まり)

 
キャリアアドバイザー。石川県金沢市生まれ。慶応義塾大学経済学部在学中より、人材教育企業にて学生キャリア支援のサポートに関わり、卒業後は東証一部上場の富裕層向け住宅メーカー・IT企業にて中途・新卒社員採用をはじめ、教育研修、異動や退職など学生のキャリア選択から、社会人のキャリアに関する領域を幅広く経験。新入社員マナー研修講師としても高い支持を受ける。現在は全国の高校生や大学生を対象に面接トレーニング、キャリア、マナー分野でのマンツーマン指導やセミナーを多数開催。毎年マンツーマン指導や勉強会に参加した200名以上の大学生が、大手企業・人気ベンチャー企業に複数内定している。

 
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佐藤 大(さとう だい)

 
神奈川県出身。採用コンサルタント。就活アドバイザー。神奈川県の自動車販売ディーラーにて人事、採用に関する業務に約8年携わり、累計で延べ3,000名の学生の面接や就職相談に応じる。「人」の持つ可能性や組織に与える影響のの大きさを数多く目の当たりにしてくる中で、さらに追求すべく2015年より独立。高校生、大学生に向けての就職指導、企業の採用支援、採用担当者育成などにに携わり現在に至る。

 
 

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