• 2015.11.1704:00
  • 就活入門

「資格」を取ると選考に有利!? 就活生が陥りがちな勘違いとは

日頃から学生の話を聞いていると、「社会に出るためにはスキルを身に付けなければならない」と考えている人がとても多いようです。
中には就活の時期になると、自分にはアピールできるものがないという焦りから、「資格」の取得について調べ出し、急に勉強を始めたという人も。
たしかに、自慢できることを一つでも多く手に入れて、ライバルと差をつけたいと思う気持ちもわからなくはありません。
しかし果たして、「資格」があるとどのくらい有利なのでしょうか?
そして来たる就活戦線に向けて、いまあなたが本当にやるべきこととは……?

 

 就活に役立つ「資格」は限られている

単刀直入に言うと、よほど専門的な仕事でない限り、実際の選考で「資格」を重視する企業は少ないのが現実です。しかし以下の「資格」は、内定に直接結びつくとは言えないものの、良い印象を持ってもらえる可能性はあるようです。
 
・簿記(1級)
・TOEIC(900点以上)
・英語以外の語学力(ビジネス会話レベル)
 
また、「資格」ではありませんが、こちらの「経験」も能力という面でプラスの印象に繋がる可能性があります。
 
・留学経験(1ヶ月程度は不可)
・起業経験
 
いかがでしょうか? どれもかなり高いレベルですよね。
このように、選考でプラスになるほどの「資格」や「経験」となると、就活をはじめてから勉強するのではとても遅く、もっと前から行動する必要があるということがわかります。いま読んでいるあなたが大学1~2年生なら、勉強の一環として資格を取るのはとても素晴らしいことですが、もし就活対策として資格取得を検討しているのなら、他の方法を考え直す必要がありそうです。
 

 就活生はなぜ「資格」にこだわってしまうのか

いきなりキツイことを言ってしまい、暗い気持ちにさせてしまったかもしれません。しかし、毎年このような現実に気がつかず、勘違いをしたまま効率の悪い動きをしてしまう就活生はとても多いのです。
 
以下をご覧ください。これは2014年に日本経済団体連合会が企業に調査した「選考にあたって特に重視した点」を元に、簡略化してまとめたもの。人事担当者が選んだ5つの選考ポイントの集計から、上位3つと「語学力」「留学経験」「保有資格」をピックアップして比較しています。
 
20151117_資格 就活に役立つ&業界研究 TOEICの基準_文中
 
 
見ていただくと、企業が特に重視しているのは「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」といった物事に取り組む姿勢に関するもので、「資格」や「経験」はほとんど重視していないことが明らかです。ちなみに、以下が集計結果の詳細となります。
 
■企業が選考にあたって特に重視した点(5つ選択 n=633)
 
コミュニケーション能力……82.8% ★
主体性……61.1% ★
チャレンジ精神……52.9% ★

協調性……48.2%
誠実性……40.3%
責任感……28.1%
論理性……23.7%
潜在的可能性(ポテンシャル)……22.4%
リーダーシップ……18.8%
柔軟性……16.1%
職業観・就労意識……14.7%
専門性……13.1%
創造性……12.6%
信頼性……12.3%
語学力……7.0% ★
一般常識……6.8%
学業成績……6.2%
出身校……3.5%
クラブ活動/ボランティア活動歴……2.7%
倫理観……2.5%
感受性……1.9%
留学経験……0.8% ★
保有資格……0.8% ★
所属セミ/研究室……0.8%
インターンシップ受講歴……0.0%
その他……3.6%
 
 
これだけ企業の求めるポイントとズレているにもかかわらず、なぜ毎年のように就活生は「資格」の取得に走ってしまうのでしょうか。理由は様々だと思いますが、一つの要因として、資格スクールの巧みなメディア戦略によって「資格をとれば有利になる」というイメージが脳に刷り込まれているという面もあるかもしれません。もしくは「資格」という明確な目標があると、達成までの道筋がわかりやすいので安心感が得やすいという面もあるでしょう。もちろんそれが悪いというわけではありません。しかし、「資格」の取得は就職先が確定した後で、その企業に合ったものを伸ばすのでも遅くはないと思います。
 
それよりいま最も考えるべきなのは、選考までの限られた時間の中でいかに効率良く内定獲得に近づけていくかということ。まず目指すべきなのは、上位にあげられた「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」あたりを身に付けることが、成功への近道なのではないでしょうか。
 

 「コミュニケーション能力」を高める方法とは?

それでは、企業が最も重視しているという「コミュニケーション能力」について、ここでじっくりと考えてみましょう。
 
「コミュニケーション能力」と聞くと、誰とでも気軽に話せる人や、明るく面白い人というイメージがあり、自信のない人は諦めたくなるかもしれません。しかし、以下の2つのポイントを理解すれば、まだまだ逆転のチャンスはあるはずです。
 
<コミュニケーション能力とは>
・相手を理解しようとする姿勢
・相手の求めていることに対して、わかりやすく説明できる言語能力

 
いかがでしょうか? これを就活に置き換えると、とてもシンプルな答えが見えてきませんか?
結局一番大切なのは、相手の企業をしっかりと理解し、企業が聞きたい質問に上手く答えること。これに尽きるのです。当たり前のことですが、共通の話題ができれば、それだけ話も弾みますし、相手にも親近感が沸いてきます。
 
つまり、あなたがまずやるべきことは、「業界研究」や「企業研究」なのです。
 

 「資格」に対する人事担当者の意見

実際、この件について企業の人事担当者にインタビューしてみたところ、以下のような答えが返ってきました。
 
人事担当者
「資格の取得に熱心になるよりも、業界研究をするなど、働くことのイメージを積極的に高めていくことが大事だと思います。もし、それに付随して行動できるのであれば、自分が将来イメージするキャリアに繋がりそうなものに挑戦してみるのも良いですね。
例えば、人材会社に興味があるとしたら、お客さまの雇用を扱っていく仕事に就くというイメージをした上で、学生のうちにアルバイトをするというのも一つの方法です。アルバイトをしながら、働く側の気持ちを理解したり、マネージャーや同僚からヒアリングしたりすることによって、“人材”というテーマへの理解を深めていくのも、立派な業界研究ですよね。
面接でもそういった話を聞かせてもらえると、こちらも具体的にコメントがしやすくて話が弾みますし、まっすぐ自分の軸をもって活動しているんだなとわかって感心します。ただやみくもに資格を取っている人よりも、ずっと伝わってくるものがありますね」
 

 まとめ

参考になりましたか?
今回は一般的な傾向をもとにお話しましたが、ごく一部の専門的な業界は「資格」を重視するところもあります。それを見極めるためにも、まずは志望先の「業界研究」を進め、求められていることをきちんと理解しながら就職活動を進めていくと良いですね。みなさんのこれからの健闘を、心より応援しています。
 
 
【参考資料】
「新卒採用(2014年4月入社対象)に関するアンケート調査結果」
一般社団法人 日本経済団体連合会
調査対象:(一社)日本経済団体連合会 企業会員のうち1,310社を対象 
調査時期:2014年7月
回答状況:660社(回答率50.4%)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2014/080_kekka.pdf

 
 

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