• 2017.06.2011:30
  • 就活入門

【石渡嶺司コラムvol.10】 就活勝手にランキング 他媒体では絶対に出てこない大学名差別の実数率ランキング(対策付き)

前回に続いて大学名差別がテーマです。
他の差別などと異なり、この大学名差別は意外と調査に残りにくい、という特徴があります。
景気の良し悪しによって大きく変わる、という側面もありますし、時代の変化もあります。
学生本人の感じ方もあるでしょう。
では、はっきりした調査は、と言えば唯一、毎年「サンデー毎日」という週刊誌に掲載される就職・大学クロス調査です。
これは主要大学70~80校について、主要企業300~400社に、それぞれ何人が就職したか、という調査です。
面白いデータ記事なのですが、経年変化は出されていません。そこで私が国会図書館に引きこもり、33校について1991年、2003年、2008年、2010年、2016年の5年分を調査しました。
それを『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)にて発表したのですが、今回はこのデータから2016年時点での人気企業就職率を上位から掲載します。
例によってと言いますか、このランキング、私、石渡が勝手にランク付けしているだけで、JOBRASS編集部は関与するものではありません。
 
※人気企業就職率(全体の就職者を分母として、「サンデー毎日」掲載時の人気企業就職者を集計し割った数)の順に掲載/括弧内の数値は1991年のもの。数字の記載がない大学は該当データなし
※データは『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)から転載
 

 他媒体では絶対に出てこない大学名差別の実数率ランキング

 
●1位:一橋大学 64.3%(74.1%)
●2位:慶應義塾大学 54.4%(77.5%)
●3位:早稲田大学 43.2%(66.7%)
●4位:京都大学 41.4%(68.9%)
●5位:学習院大学 40.9%(60.5%)
●6位:大阪大学 39.5%(84.8%)
●7位:東京大学 39.1%(68.5%)
●8位:東京外国語大学 38.8%(55.2%)
●9位:名古屋大学 38.2%(70.4%)
●10位:上智大学 37.6%(61.7%)
●11位:東京理科大学 35.7%(81.7%)
●12位:同志社大学 35.5%(56.9%)
●13位:日本女子大学 32.7%(56.1%)
●14位:青山学院大学・立教大学 31.9%(青山学院63.3%、立教55.7%)
●16位:明治大学 30.3%(47.8%)
●17位:関西学院大学 30.1%(54.6%)
●18位:芝浦工業大学 28.5%(51.0%)
●19位:成蹊大学 26.0%(52.4%)
●20位:中央大学・立命館大学 25.8%(中央53.6%、立命館39.8%)
●22位:法政大学 23.9%(42.2%)
●23位:関西大学 22.1%(45.7%)
●24位:甲南大学17.0%(40.3%)
●25位:日本大学 13.4%(27.2%)
●26位:駒澤大学 11.9%(24.0%)
●27位:京都産業大学 11.4%(29.5%)
●28位:近畿大学 10.3%(20.4%)
●29位:東洋大学 10.1%(23.3%)
●30位:専修大学 10.1%(25.5%)
●31位:龍谷大学 8.9%(-)
●32位:東海大学 8.0%(28.2%)
●33位:桃山学院大学 5.0%(14.1%)
 

 中堅私大の学生が苦戦する理由

 
33校のうち、下位を占めるのは日東駒専・産近甲龍クラスの中堅私大です。
これは1991年時点と変わりません。
2016年時点で、中堅私大生が有名企業への就活で苦戦するのは、大学名差別だけではありません。
SPI対策、打たれ弱さが敗因でもあります。
SPI対策は特に能力検査の中でも非言語分野(数学)で大きな差が付きます。
現在のSPI3の非言語分野は数学のパズル的な問題が多く、ある程度勉強していないと得点できません。
そこで事前にある程度、勉強が必要なのですが、数学を大学受験で経験している国公立大・私立大理工系学部の学生に比べて私立大文系学部生はどうしても苦戦してしまいます。
「打たれ弱さ」とは、ネット上に出ている大学名差別の情報をそのまま信じ込む、あるいは、数社落ちた程度で就活そのものをやめてしまう、など落ち込みやすいことを意味します。
国公立大・難関私大にもいるのですが、割合としては中堅私大に多いような。
逆に言えば、SPI対策を事前にしている、それから多少の失敗にも落ち込まないメンタルの強さがあれば、大学名差別は変えていけるのではないでしょうか。
なお、1991年データと2016年データを比較した場合、東京大学はじめ、大半の大学では有名企業就職率が半減しています。
これは企業の知名度・規模だけでなく、働きやすさや将来性なども含めて判断する学生が増えているからです。
業界・企業研究を含めて就活を広く考えること。それが大学名差別の呪縛から解き放たれる方法ではないでしょうか。
 
 

【講演情報】
「勝手にランキング」の石渡に文句を言いたい方、講演を聞きたい方、エントリーシート添削を依頼したい方などは、以下の講演にご参加ください。
 
7月19日(水)18時~20時30分 【アイデム西日本(大阪・本町)】2019年・2020年・2021年卒対象「大学1・2・3年生が就活を前に考えたい大学生活」
>予約はこちら
 
8月2日(水)13時~18時 【アイデム西日本(大阪・本町)】2019年・2020年・2021年卒対象「お菓子な就活、おいしい就活イベント+石渡講演」(食品業界各社が集結しての企業研究イベントと石渡講演)
>予約はこちら
 

【筆者プロフィール】

石渡嶺司(いしわたり れいじ)

1975年生まれ。北海道札幌市出身。1999年東洋大学社会学部卒業後、日用雑貨の実演販売、編集プロダクション勤務などを経て2003年から現職。大学・就活関連の取材、執筆活動を続ける。当初から「大学勤務も採用担当者経験もないくせに」と批判されているが、14年経った現在も仕事が減りそうにない変わり種。
3月からJOBRASSマガジンの他、日本経済新聞サイト(日経カレッジカフェ)でも連載開始。
著書『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書) 、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)、『就活のコノヤロー』(光文社新書)、『教員採用のカラクリ』(共著、中公新書ラクレ)など多数

CATEGORYカテゴリー