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氏名:彦坂 健一郎
職種:理事長
入社:2007年7月
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山梨大学 教育学部卒業後、県の職員として知的障がい者施設に勤務。その後、児童施設、成人施設など、知的障がい者を対象としたさまざまな福祉施設で、利用者の生活サポートや家族の支援を行う。2007年、社会福祉法人 恵和へ入社し、青年寮とグループホームの施設長を兼任。2011年からは理事長に就任。利用者の高齢化対策など福祉サービスの質の向上を図るとともに、地域社会への貢献にも力を入れている。
Our businesses -会社を知る-60年以上にわたり、知的障がい福祉を先駆的に実践。一人ひとりの利用者の方に寄り添い、地域社会での自立した生活を支援
「社会福祉法人 恵和」の創立は、1954年。60年以上にわたり、知的障がいのある方のための生活支援を中心とした福祉事業を行ってきました。現在、1ヵ所の入所施設、3ヵ所の通所施設、19カ所のグループホームを展開し、約230名の知的障がい者の方をサポートしています。施設の再整備も進めており、2016年10月には新しい通所施設が完成。より開かれた施設となるよう、地域との交流も増やしています。
加えて、自宅やホームで生活する障がい者の支援を行うヘルパーの派遣も行っています。さらに、恵和の利用者の方々とそのご家族はもちろん、地域でさまざまな悩みを持ち、相談を求めている障がい者や障がい児を支援する「相談支援事業」も展開。障がい者の方々が地域社会において自立した生活を送れるよう、多方面から支援を行っています。
これまで恵和では、地域社会や利用者の方々に貢献することをめざし、さまざまな知的障がい福祉を先駆的に実践してきました。私たちの施設を利用する障がい者の方は、20代から80代まで年齢も幅広いのですが、多いのは50~60代の方です。それは、60年以上の歴史を持った施設であることと、福祉業界の中でも早い時期からグループホームを運営してきたことが関係しています。私たちのような昔からある施設では、養護学校卒業後など若くして入所した利用者の方も年齢を重ね、60代以上という方が多くなっています。グループホームには介助度の少ない利用者の方が多く入居していますが、入所している方の年齢が上がるに伴い、介護や看取りなどの新たなケアも必要となっています。こうした状況を踏まえ、生活支援とともに介護ケアについてもしっかりと対応できる体制を構築していくことが、私たちの使命だと考えています。
そして今、恵和では若手職員が中心となって「経営理念の再構築」を行っています。日本に憲法があるように、恵和にも「基本理念」があります。「今日も元気で世の中のため人のために頑張ろうや」という創立者の言葉を「恵和憲章」と位置づけ、一人ひとりをあるがままに受け入れ、その幸せを願うというキリスト教の精神を基本として、知的障がい福祉を先駆的に実践していく姿勢を「経営理念」としています。こうした理念やこれまでの歴史・伝統を大切にしつつ、経営理念をはじめ、職員の行動規範、業務手順書などをより具体化するための検討を実施。職員がチームとして力を合わせ、一体感を持って仕事を進めていくことが出来るよう仕組み作りに挑戦しています。
People and culture -働きやすい職場-職員の「やってみたい!」という気持ちを受け止め、その実現をサポート。失敗も成長の糧にできる環境です
この仕事は、トライ&エラーの連続です。例えば、初めて子どもを持った親は、子どもが泣いていても、その理由がわかりません。けれども、毎日子どもと接しているうちに、お腹が空いているんだ、おしめが濡れているんだ、と、わかるようになっていくものです。福祉の仕事も同じです。知的障がいのある方は、自分の思いを言葉にすることが苦手な方もいるため、相手の気持ちをくんで、何を求めているかを考え、行動することが求められます。そのため、私たちの施設では「やりたいことは失敗してもいいからやってみる」と職員がいろいろなことに挑戦できる環境づくりを大切にしています。利用者の方のためにやってみたい、改善したいという意見はどんどん出してもらっていますね。もちろん、それをやるかどうかの検討はしますが、良いと判断すれば、すぐにGOサインを出して実践しています。 知的障がい者の方は、発達のスピードがゆっくりなことが多いのですが、50歳くらいまでは新しい変化が生まれる可能性があると思っています。新しい経験を積むことで、成長を続けることができるので、その方が力を出せる機会を作ってあげることも、仕事のひとつです。職員がトライすることで、利用者の方が成長できる。たとえうまくいかなくても、その原因を考えて、次に活かしていけばいい。利用者の方と一緒に経験したことは、その方にとっても職員にとっても成長につながると信じています。だから、恵和では、やりたいことには挑戦させるという環境づくりに力を入れているのです。 また、長く働き続けられるよう、定年の年齢も引き上げています。常勤職員は60歳が定年ですが、働くことを希望する人は全員65歳まで再雇用する制度を整えています。非常勤職員の定年は75歳。現在、常勤130人、非常勤150人と280人の職員がいますが、70歳を超えて働いている職員は10人ほど。年齢の異なる職員同士がお互いに協力し、刺激しあいながら、仕事に向き合っている姿をよく見かけます。そうした環境も恵和の特徴ですね。
Support -仕事とプライベートにメリハリを-福祉系の資格取得や、得意分野を活かしたサークル活動。やる気をとことんバックアップしています。
「福祉の仕事に必要な資格やスキルはありますか?」という質問を受けることがあります。仕事を始めるうえで、この資格がなければならない、こういうスキルを身につけておいてください、というものはありません。仕事を続ける中で、必要に応じて専門的な知識や技術を身につけていけばいいと考えています。もちろん、資格を取得することは素晴らしいことです。恵和では、社会福祉士や精神保健福祉士、社会福祉主事、知的障害者援助専門員などの資格取得を奨励しています。主に福祉系の資格が対象となりますが、資格を取得している人には毎月資格手当を支給(資格によって金額が異なり、上限1万円まで)。知識や技術を磨き続ける職員をサポートする制度を整えています。 また、サークル活動も推奨しています。現在、フットサル、陶芸、山登り、バドミントンなどのサークルがあり、職員や利用者の方々、そのご家族など、恵和に関係する人が所属しています。一定の実績をあげているサークルについては、補助金を出して活動をサポート。職員が自分の趣味や、得意分野などを活かして活動できることに加え、利用者さんの経験も広げることができます。さらに、職員と利用者の方々、職員同士のつながりも深められるというメリットもあります。職員の「やりたい!」という気持ちをバックアップし、さらにサークルの数も増やしていきたいですね。 利用者の方の生活を支援する福祉の仕事では、24時間365日、常に利用者の方のことを考えている、と言っても過言ではありません。だからこそ、休みを取ることも重要です。恵和の職員は、仕事とプライベートをうまく両立して、仕事に集中するときは集中する、休むときは休む、というメリハリをしっかりとつけている人が多いですね。
We are looking for people who… -私たちが求める人材-福祉の仕事に必要なのは、その人のありのままを受け入れる姿勢、そして協調する力
一番求めているのは「常識力」。礼儀作法やマナー、あいさつなどに加え、重視しているのが協調するスキルです。どの業界でも言えることだと思いますが、仕事をする上で重要なことは、チームとして協力しながら動くことです。リーダーシップはもちろん、フォロワーシップも大切にしてほしいですね。「この仕事は○○さんがリードするから、自分はフォローにまわる」と、業務によってリーダーを務めたり、フォロワーとしてリーダーを助けたり。状況によって、必要に応じて、自分の役割を変えていく力を身につけている人が着実に成長していける人だと思います。 福祉の仕事では、その人のありのままを受け入れる「受容的姿勢」を持つことが重要です。利用者の方が失敗したり、うまくできないことがあったりしても、ありのままを受け入れる。そうした気持ちが利用者の方に伝わり、信頼関係を築くことにつながると思うのです。また、誰も見ていないところでも手を抜かず、まじめに仕事に取り組む「誠実さ」、人とのつながりを大切にできる「コミュニケーション力」も、私たちが求めているものです。学生時代にスポーツや音楽など何かに熱中した経験のある人は、まじめにコツコツと努力する、仲間と協力するといった力を伸ばせているはず。それらは福祉の仕事に必要な力でもあると考えています。 利用者さんやそのご家族から毎日のように「ありがとう」という言葉をいただけるのが、福祉の仕事です。けれども、それを当たり前と思わずに、毎回新たな気持ちで「ありがとう」を受け入れる姿勢をもつことが、福祉に携わる者には求められます。そうした姿勢を大切にしながら、地域に根付いた福祉事業を届けていきたいと思います。