- Profile
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氏名:金井宏輔
職種:社長室長
入社:2013年4月
部署:社長室
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大学を卒業後アメリカに留学し、MBAを取得。その後大手鉄鋼商社で2年間勤務後2013年より金井重要工業へ入社。現在社長室にて「会社を良くする」ことを業務とし、職場全体の改善活動や働きやすい会社作りを担う。採用活動や研修、ダイバーシティ推進などを中心に活動しており、特に採用活動には力を入れ、独自の採用活動を実施している。
Our businesses -会社を知る- 120年前から日本の紡績産業を支え続けています。
当社はモノづくりのメーカーとして、創業120年の歴史を持つ会社です。現在の事業の柱は、大きく3つに分けられています。
1つ目は、当社の象徴ともいえる「繊維機器事業」です。紡績機械などの部材(部品)であるトラベラやリングを生産しています。皆さんに馴染みのある衣類やタオルなどに使用される糸を生成するときに使用されるのが紡績機械です。紡績機械で糸を生成する場合は、直径40mmのリングの上をトラベラが時速200kmの高速スピードで滑走するので、高い耐摩性と滑走時の安定性が要求されます。それだけに紡績機械の部材の中でも、最終の品質を左右する重要な位置付けにあるのが、私たちが生産しているトラベラやリングと言われています。
2つ目が、織らない布として知られている「不織布事業」です。不織布はマスクやガーゼに使用されていることで有名ですが、当社の製品は空気の浄化フィルターや自動車の内装の天井、スポンジたわしの汚れを落とす部分などに使用されています。不織布という部材を製造するメーカーとして幅広い業界・顧客に製品を供給しており、現在も医療業界など新しい市場へも積極的に挑戦するリーディングカンパニーとして事業展開をしています。
そして、3つ目の事業は少し特徴的で、「不動産事業」です。建築分野にも造詣の深かった2代目の社長が、兵庫県の有馬温泉に旅館を建てました。当時、紡績産業は全盛期の時代で、海外から当社へ商談に訪れるお客様も多くいました。そのお客様もお迎えする迎賓館として、有馬温泉に温泉旅館「古泉閣」を建てたことが始まりで、現在もその温泉旅館を子会社が運営管理しています。
Corporate value -私たちの強み- 日本の紡績産業の転換期に誕生しました!
当社には120年を超える歴史があります。その昔、紡績産業は「十大紡」と呼ばれた紡績会社に代表されるように、日本の基幹産業として、国の成長に大きく貢献してきました。しかし、そのような時代でも、紡績の品質を決めるトラベラという部品は外国からの輸入品に頼っていました。1894年。ちょうど日清戦争が起こる前の時代です。そんな時代に「もし戦争が始まってしまったら、輸入が止まり、日本の基幹産業である紡績も止まってしまう」と考えた、初代社長の金井熊吉がトラベラの国産化に踏み切ったのが、私たち金井重要工業の始まりです。 その後、当社は時代の主流に乗り、隆盛を極めた時代もありましたし、度重なる戦争や紡績産業の海外転出により、厳しい時代も乗り越えてきました。しかし、どのような時代においても、当社が重視してきたのは、日本人のメンタリティでもある「お客様への信用・信頼」の部分です。当社には、自分たちが儲かれば良いという考え方ではなく、お客様に満足してもらう製品を作り、その対価としてお金を頂くという『徹底的なお客様思考』の考え方が根付いています。それが我社では「わが身に付ける『が』と『こそ』を人に付ければ全て円満」という社訓となっています。「私が」「私たちこそ」という考え方ではなく、「あなたが」「皆様こそ」という想いで仕事に取り組んでいます。 現代で例えるならば、今やトラベラは何千何万の品種があります。その中から、さまざまなお客様の要望に合わせて、部品をカスタマイズして、要求された品質に対応することを、常に意識してきました。また、それらの部材を国内で生産しているだけでなく、我々が工場で使用している機械も、自らで設計・開発したジャパンクオリティのものです。このような一つひとつのきめ細かい仕事の積み重ねが、120年を超える長い社歴を支えているのだと思っています。
Corporate value -私たちの強み- がん治療に当社の技術が生かされています!
2014年に「技術革新室」を立ち上げました。これまでの延長線上の技術向上だけでなく、新発想での技術イノベーションを起こす狙いがあります。当社の技術部門は120年の成功体験から、各事業部の既存技術に依存する傾向にあり、新たな発想でのモノ作りが難しい状況でした。そんな中、新たな商品や製造技術の確立を目指す「技術革新室」が誕生し、社内外を問わず、新技術の情報が社内に集まりモノ作りの環境が変わりました。実際の成果は炭素繊維や医療分野での商品開発、自動化設備の導入などで始まったばかりですが、会社をステップアップさせる計画が数多く出てきています。 具体化しているのが炭素繊維の不織布化です。現在、炭素繊維の「軽量・不燃」の特長を活かした吸音断熱材として、主に車輌用に使用されており、更なる炭素繊維の特長を活かした商品開発を行っています。 また大学、医療機器メーカーと「粒子線治療用体内吸収性スペーサー(仮)」も共同開発中です。現在、臨床試験段階ですが、がんの粒子線治療においても当社の技術力が生かされようとしています。がんの粒子線治療は放射線を照射して、がん細胞を死滅させるのですが、強い放射線を当てるので、隣接する健康な臓器を傷つけるリスクもあります。それを防ぐために、従来は臓器間を隔てる板状のもの(スペーサー)を、患者さんの体内に入れていました。治療後に再度開腹してスペーサーを取り出すため、患者さんには負担です。当社のスペーサーは生体適合性の高い不織布で、数か月間で体内に溶ける画期的な性質で、体内へ入れても治療後は自然に溶けてしまうのです。これにより患者さんの負担が減らせます。当社は部材メーカーですが、市場の要望に応えることで、このような社会貢献事業にもかかわっています。 成果の背景には技術革新室の小畑室長の方針があります。技術革新室は8名の技術者がいますが、全員が揃うのを見たことがありません(笑)。新技術を創り出す・見つけ出すにはデスクワークだけでは不可能、企業や大学など外部との連携が重要という室長の考えを、彼らは理解し、社外での情報収集や製品開発に積極的で、社内にいないんです。「社外と繋がる、社内で創る、自由で動ける技術屋集団」です。 余談ですが、私の部下だった入社2年目の社員が、7月に技術革新室へ異動しました。彼が最近、あることを嬉しそうに話してくれました。彼は大学で機械や生産技術を学んだ、いわゆる機電系です。そんな彼が社長室で採用活動を行い、様々な社会人と出会ったことで、大学時代の研究が活かせる人はごく一部だと感じたようです。その思いがあるので、技術革新室で大学時代の研究内容や意欲が理解されてテーマをもらったことが嬉しかったみたいです。今も高いモチベーションで、新入社員より元気にやっています。意欲を組んで、適切なテーマを与える所も技術革新室の良さだと思います。
Growth and development -成長を実感したい- 新入社員は全員同じ部署へ配属されます!
現在、「新入社員は全員社長室に配属する」教育制度を実施しています。新入社員は文系理系、希望職種などを問わず、1年間は社長室に配属されて主に採用人事を担当することになり、2年目以降に本配属となります。いわば1年間をかけたOJT研修を行っているような感じです。 社長室ではビジネスマナーに始まり、仕事観や価値観や本質論、仕事の進め方や営業や発想力に至るまでできる社会人の基礎を1年間で身に付けることを目的としています。もちろん1年でできる社会人になることは難しいですが、基礎を身に付け、本配属後に自ら成長できる人間を目指したマインドの教育を行っています。 この教育制度は2014年度入社の新入社員からスタートして、社内でも高い評価を受け、私としても一定の手ごたえを感じています。経験した社員からは「さまざまなことが学べるので、引き続き社長室で働きたい気持ちもあるし、社内外で学んだことを活かしたい」という声を聞いています。 私自身、仕事では細かい人間ですので、よく部下を叱ります。しかし、そこには部下の成長を願う気持ちがあり、感情的ではなく論理的に注意するよう心がけています。また、部下とのコミュニケーションは、どこよりも誰よりもやっている自信を持っていますし、しっかりと自分の想いを伝えお互いに成長できるような環境を作るよう心掛けています。それにより部下は私の想いに応えてくれ、日々悩みながらも前向きに仕事を頑張ってくれています。 金井重要工業はこれまで技術力で事業を進めてきた会社でしたが、これからはそれに加えて社員一人ひとりがビジネスの本質を理解して行動することより、会社の発展につなげていきたいと考えています。